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令和4年5月25日(水) |
昔の旅は大変です |
5月21日(土)から弘前市立博物館にて特別企画展1「歌川広重 二つの東海道五拾三次」を開催しています。 歌川広重と言えば最も有名なのが浮世絵「東海道五拾三次」です。 学校の教科書にも載っており、多くの方がその名をご存知と思います(安藤広重の名で習った方もいらっしゃると思います)。 歌川広重の描いた浮世絵「東海道五拾三次」は一つではなく、生涯で20種類以上描いたとされています。
今回の展覧会では、歌川広重が最初に描いた保永堂版と、その15年後に描かれた現存数の少ない丸清版を展示しております。 「東海道五拾三次」は江戸の日本橋から京都までを描いており、その道中にある53の宿場が題材となっております。保永堂版・丸清版ともに出立地(江戸)と到着地(京都)を含む55枚で構成されています。
東海道五拾三次 箱根 保永堂版 個人蔵
東海道五拾三次 箱根 丸清版 公益財団法人 日動美術財団蔵
こちらは「箱根宿」です。箱根は今でも観光地として有名ですが、東海道随一の難所である箱根峠の途中に宿場がありました。 上の保永堂版では、反り立つ山の岩肌を多彩な色で表現しており、いかに険しい峠であったかがうかがい知れます。険しい山だけでなく、崖下の蘆名湖や富士山の景色も美しい場所です。 下の丸清版では、夜の箱根峠を描いています。大きな松明を手に登っていく人々の姿があります。この時代は峠に明かりは無いでしょうから、真っ暗だったでしょう。山もおぼろげで暗さを引き立てます。
東海道五拾三次 嶋田 保永堂版 個人蔵
東海道五拾三次 嶋田 丸清版 公益財団法人 日動美術財団蔵
こちらは「嶋田宿」です。嶋田宿と金谷宿との間にあるのが一級河川、大井川ですが、軍事的見地から橋を架けられず、船の渡航も禁止されていました。そのため川越人足を雇い、肩車や連台に乗って渡航するしか方法はありませんでした。 増水した時には何日も足止めをされることもあったそうです。 上の保永堂版では、俯瞰で見た構図となっています。大名行列の一団が川越人足を雇って川を渡る様子が描かれています。 下の丸清版では、連台に乗る人、肩車される人、籠に乗る人や荷物など細かく描かれています。
今回ご紹介したもの以外にも本展覧会では、保永堂版・丸清版ともに55枚を展示しております。画面ではとらえきれない刷りや彫りの妙がありますので、ぜひ実物を見に博物館へご来館ください。
(おにぎり) |
担当 博物館
電話 0172-35-0700