建築家 前川國男
【STORY27】建築家 前川國男
木村産業研究所(1932年) |
弘前中央高校講堂(1954年) |
弘前市役所庁舎(1958年) |
1作目の木村産業研究所では、コルビュジエのところで学んだ近代建築の5つの要素(ピロティ、独立骨組、自由な平面、自由なファサード、屋上庭園)を最大限に表現しています。 2作目の弘前中央高校講堂は、本格的な音楽堂の先駆けとなったものです。 この作品には、厳冬の北国特有の凍害から学び、水平の庇が設けられています。このころから前川は、日本の風土を意識した設計を志すこととなります。 3作目の弘前市庁舎では、重厚堅実を意識した単純明快な構造と大きな庇、そして城下町を考慮し、建物の高さを抑え大会議室には切妻屋根を採用するという配慮がなされています。 外壁のコンクリートうち放しとレンガブロックは、弘前公園の緑と違和感なく同化しています。 |
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弘前市民会館(1964年) |
弘前市立病院(1971年) |
弘前市立博物館(1976年) |
4作目の弘前市民会館では、全面コンクリート打ち放しで、大ホールと管理棟をオープンデッキで結び、一つの敷地でありながら、場面ごとによって様々な風景を醸し出す演出をしています。 5作目の弘前市立病院では、壁面から窓サッシュを奥まらせ、より厳冬に強い建物を表現。フラットルーフには、癒しの空間として屋上庭園が設けられています。 6作目の弘前市立博物館では、考案した打ち込みタイルを採用し、7作目の弘前市緑の相談所でも使っています。 |
弘前市緑の相談所(1980年) |
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そして、さらに大きな傾斜屋根が空間構成の中心的要素となり、弘前における最後の作品、8作目の弘前市斎場は、大きな屋根と打ち込みタイルの全盛を極めます。 風土との共生や自然環境との調和、そして、場面ごとに情景を醸し出す演出の集大成とし、有終の美で仕事を閉じました。 |