令和8年第2回弘前市議会定例会(令和8年6月5日)において、谷川政人市長は施政方針演説を行い、任期中の決意を表明しました。
以下に演説の内容を全文掲載します。
弘前市民の皆様からの負託を受け、弘前市長という重責を担わせていただくこととなりました。身の引き締まる思いであるとともに、郷土弘前の未来に向け、全力を尽くしてまいる所存でございます。
弘前は、古くからの歴史と文化、豊かな自然、そして温かい人々に恵まれた素晴らしいまちであります。しかしながら、近年は、人口減少と少子高齢化が加速する中において、基幹産業の担い手不足、中心市街地の活力低下、そして、大雪、さらには物価高騰による市民生活への悪影響など、多くの問題に直面しております。
これらはもはや先送りできるものではなく、市民の皆様の暮らしに直結する「いま解決すべき課題」であります。
弘前を動かす。弘前を立て直す。厳しい現実から目をそらさず克服し、未来への力強い一歩を具現化するための様々な政策を掲げ、積極的に展開してまいります。
私の市政運営の基本姿勢は、市民の皆様一人ひとりの持てる力、このまちのポテンシャルを最大限に引き出し、協働によるまちづくりを進め、市民の幸せな暮らしを実現することであります。私はこれを「オール弘前」と称し、「新時代の扉を開く4つの鍵、『結集』、『挑戦』、『迅速』、『対話』」により市政の推進を図ってまいります。
鍵の1つ目、「結集」は、市民、企業、行政など、あらゆる主体が力を合わせ一体となり、まちづくりに取り組むことであります。
2つ目の「挑戦」は、前例にとらわれることなく新しい可能性に果敢に挑み、未来を切り拓くことであります。
3つ目の「迅速」は、意思決定と行動のスピードを向上させ、地域における様々な課題の解決に向け即座に対応することであります。
4つ目の鍵、「対話」は、市民の皆様の声に常に耳を傾け、相互理解を深めながら行政としての役割を果たしていくことであります。
この揺るぎない姿勢のもとで「誰もが生きがいを持てる未来」、「弘前市民の暮らしと安心を守る」、「AI・DXによる変革」、この三つを基本方針とし、弘前の未来を描きその実現を目指してまいります。
「誰もが生きがいを持てる未来」。
弘前の未来を担う子どもたちが健やかに育ち、若者が夢に向かって挑戦し、高齢者、障がいのある方などが安心して生活し、全ての人が活躍できる共生社会を創ってまいります。
「弘前市民の暮らしと安心を守る」。
私たちの日常生活を支えるインフラは、まちの生命線であります。大雪への抜本的な対策、医療体制の維持・強化、上下水道・道路等の適切な管理などにより、市民の皆様が安全に暮らせる強靭なまちを築き上げます。
「AI・DXによる変革」。
人口減少などに伴う人手不足が避けられない時代において、地域の仕組みや行政運営を持続させるためには、大胆な変革が必要であります。AIやデジタル技術を積極的に導入し、市民サービスの向上と自治体業務の効率化を両立させます。
市民の皆様が日々肌で感じている切迫した課題については、緊急に取り組むべきものとして捉え、強力なリーダーシップのもとで直ちに実行に移してまいります。
「除排雪対策」といたしまして、除排雪体制を徹底的に見直すための市民会議の新設、予算・人員・重機の確保、そして、AIを活用した効率的な除排雪システムの導入などにより、冬期間における市民の皆様の快適な暮らしを実現します。
「物価高騰対策」といたしまして、国・県からの交付金などを活用して、対象や状況をしっかりと見極めた適時適切な支援により、家計の負担を軽減し、市民生活を守ります。
「まちの賑わい復活」といたしまして、旧第一大成小学校跡地のあり方の再検討、投資しやすい環境づくり、AI・DX関連産業の誘致の推進などにより、中心市街地のまちづくりを「再起動」させ、まちの魅力と元気を取り戻します。
これらと並行して、中長期的な視点に立ち、当市の持続可能な発展と市民の皆様のより豊かな生活を実現するための5つの戦略を掲げ、着実に実行してまいります。
戦略1「弘前の『活力』を創出」。
市民や企業が様々なことに挑戦できる環境を整備することで地域経済を力強く再生させ、弘前を「稼げるまち」へと発展させます。
津軽の豊かな食と文化資源を最大限に活かした観光の推進により、交流人口と関係人口の拡大を図ります。
当市の基幹産業である農業については、水源確保と圃場再編による農業基盤強化、担い手の育成・確保、農業残さや下水等の域内資源を活用した「地産地消・資源循環型農業」への転換を図り、生産者の経営安定と所得向上を目指します。
なお、生産者の営農意欲を減退させ、市民の生命や財産をも脅かす有害鳥獣への対策については、既に鳥獣対策推進室を設置し、体制を強化したところであります。
戦略2「教育と子育て環境の充実」。
弘前の未来を担う子どもたちが健やかに成長し、子育て世代が安心して暮らせる環境を整備することで、次世代の笑顔を守るまちを創ります。
県施策と連動した保育料の完全無償化と保育園等の副食費への支援については、本定例会に補正予算を提出し、実施に向けた準備を進めております。
雪国特有の課題を克服し、通年で体を動かすことができる全天候型施設の整備に向けた調整、部活動の地域連携の円滑な運用、教職員の働き方改革の加速化など、子ども達一人ひとりの無限の可能性を最大限に引き出せるよう教育環境を整え、次世代が未来に羽ばたくための力を養います。
地域への誇りを育み、若者の定着と還流を促すため、スポーツの産業化を通じた雇用創出などにより、人口減少抑制に挑戦してまいります。
戦略3「生活の基盤をアップデート」。
刻々と変化する社会環境に対応するため社会インフラの最適化を進め、市民の皆様が快適に暮らし、住み続け、多くの方々に選ばれるまちになることを目指します。
中心市街地活性化基本計画と連動し、かつ、立地適正化計画を包含した都市計画マスタープランの改訂などにより、コンパクトな都市構造や利便性の高い地域公共交通網の再設計に取り組みます。
最先端技術の導入などにより、環境負荷の低減とコストの削減を図り、エネルギーの地域循環モデルの構築を検討してまいります。
買物困難者の増加への対応、小規模多機能自治や農村RMOの推進、空き家等の積極活用により地域コミュニティの強化を図り、地域の機能と暮らしの拠点づくりを推進します。
戦略4「安心のネットワークを構築」。
医療・福祉・防災のネットワークを強化することで、誰もが健康で生きがいを持ち安心して暮らせるまちづくりを目指します。
弘前大学COI-NEXTとの連携強化による「健康寿命の延伸」を促進し、地域医療体制の維持・確保・充実に力を注ぎます。
子どもから高齢者、障がいのある方まで、全ての市民を対象とした重層的支援体制の整備と居場所づくりに取り組みます。
高齢世帯等への屋根雪除雪支援について、DXを活用した手法を実証し、併せて事業化を検討するほか、防災組織空白地帯の解消、消防団の運営体制強化、避難所における冷暖房設備の充実、プライバシーへの配慮やペット対応など、利用者目線での環境改善を図ることで生活支援や地域防災力の質的向上を進めます。
戦略5「対話と連携で市政を再起動」。
津軽地域における中心的な役割を担うまちとしてリーダーシップを発揮し、広域的かつ持続的な発展を実現します。
公共施設の広域運用や、DXを活用した一括予約システムのほか、市民とつくる歳入・歳出改革の仕組みの検討などを行い戦略的な市政経営に取り組みます。
市民との対話に関するプラットフォームを構築し、市民ニーズに即した質の高い政策につなげるとともに、情報の迅速な収集と発信、的確な初動対応を可能とします。なお、市長直轄の危機管理体制を構築するため、総務部内に担当理事を配置し、体制の強化に着手しております。
私が目指すのは、「未来に向けて誰もが希望を持てる弘前」であります。今、私が申し述べてまいりました数々の政策は、これまでの政治活動において、市民の皆様から寄せられた声、その一つ一つが抱える課題を洗い出し、それぞれの解決策を見出すためにまとめ上げたものであります。
今後、未来を見据えた戦略的な市政経営に臨むため、新たな総合計画「弘前X-VISION」を策定し、スピード感をもって政策の実現に向けた取組を進め、皆様との「対話」を基に、市民生活の「迅速」な課題解決を最優先に、「オール弘前」で力を「結集」し、新しい未来へ果敢に「挑戦」すべく、そして、弘前の発展と市民の皆様の幸せのため、私の全身全霊を捧げることをここにお誓い申し上げます。
担当 法務文書課
電話 0172-40-0205