(会見者: 櫻田 宏 市長)
1.記者会見次第(あいさつの主な項目等)(77KB)
2.令和5年度予算案の概要(2601KB)
それでは、令和5年度の予算案について、ご説明申し上げます。
お配りしております「令和5年度予算案の概要」の5ページをご覧ください。
令和5年度予算案は、令和5年度から始まる総合計画の後期基本計画に基づき、子どもから高齢者まですべての市民が健康で長生きできるまちづくり、そして、それに留まらず雇用の創出と所得の向上を図ることにより、若者をはじめすべての人々がいきいきと住み続けられるまちづくりを推進する、「健康都市弘前」の実現に向けた取り組みを中心に編成いたしました。
市民生活を第一に、市民の「いのち」を大切にし、市民の「くらし」を支え、次の時代を託す「ひと」を育てる。この3本の柱を基に、「ひとの健康」、「まちの健康」、「みらいの健康」を後期基本計画のリーディングプロジェクトに位置付け、重点的に取り組んでまいります。
また、社会経済状況及び市民ニーズを踏まえた新たな取り組みにも着手し、さらには「弘前市協働によるまちづくり基本条例」の考え方に基づき、多様な主体と協力・連携し合いながら魅力あふれるまちづくりを積極的に進めてまいります。
6ページをご覧ください。
一般会計、特別会計及び企業会計の予算規模であります。
令和5年度の一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた全体の予算は、1千391億6千284万8千円となります。
予算のポイントの、1.一般会計予算の規模につきましては、789億8千万円で、令和4年度の当初予算と比較すると、弘前文化センター整備事業の終了による大きな減額の要因があるものの、石川小・中学校等複合施設整備事業や身体障害者福祉センター整備事業といった普通建設事業費のほか、子ども医療扶助費の増額などにより、1億6千万円、0.2%の増となっております。
なお、補正第1号後、いわゆる肉付け後予算との比較では、ワクチン接種事業や団体等販売促進活動支援事業など、新型コロナウイルス感染症対策費の減などにより、約10億8千万円、1.4%の減となっております。
3の国の補正予算との一体的な取り組みといたしましては、財源的に有利な国の第2次補正予算を活用した令和4年度補正予算を予定しており、令和5年度予算と一体的に取り組んでまいります。
7ページをご覧ください。
「令和5年度の主な取組」について、網掛けで表記している事業にポイントを絞ってご説明いたします。
(1)「『健康都市弘前』の実現に向けた取組の推進」は、後期基本計画の中でもリーディングプロジェクトに位置付けて重点的に取り組む事業となります。
まず、「①ひとの健康・すべての市民が健康で長生きできるまちづくり」であります。
「健康とまちのにぎわい創出事業」は、健康をテーマとした中心市街地のにぎわい創出に係るさまざまな事業を通して、普段あまり健康を意識していない人を取り込み、弘前大学COIが開発したQOL健診などにより、健康への意識付けや行動変容を図るものであります。
「子ども医療扶助費」は、所得制限を撤廃し、満18歳に達した日の属する年度末日までの医療費を完全無償化するものであり、4月から、安心して子育てできる環境をさらに拡充させ、子どもたちの健やかな成長を支援してまいります。
「高齢者介護予防運動教室事業」は、高齢者の健康づくりや介護予防を図るほか、健康意識向上のため、QОL健診による効果検証を新たに組み入れ、いきいきと自立した生活を送れる環境を整備してまいります。
8ページをご覧ください。
「②まちの健康・快適なくらしを送れるまちづくり」であります。
「健康づくりのまちなか拠点整備事業」では、市民の健康寿命延伸に向けた拠点整備のため、旧市立病院改修にかかる実施設計、旧第一大成小学校跡地整備にかかる基本設計を進めてまいります。
「企業立地推進事業」は、企業誘致を進め、市内企業の事業拡大を促進するほか、新たに健康医療関連産業の誘致に取り組むことで、雇用の創出と若者の地元定着を図るものであります。
「まちなかお出かけパス事業」では、対象者数を拡大し、運転免許を自主返納した方を含めた高齢者の公共交通による外出を促進することで、健康増進や、まちの賑わい創出を図ります。
なお、「まちなかお出かけパス」は、今月2月25日から始まる、弘南バスによる交通系ICカード「メゴイカ」を利用することになりますが、5月27日からは、JR東日本の弘前駅・青森駅間でスイカなどの交通系ICカードの利用が開始されるため、相乗効果が期待されるものであります。
次に、「③みらいの健康・地域の未来を担うひとづくり」であります。
「地元就職マッチング支援事業」は、県外へ流出した若者のUターンや移住の促進を図るため、東京23区に在住または通勤している方が、市内へ居住し、県内企業へ就職等をした際に支援金を交付するものであります。4月からは、支援制度を拡充し、子育て世帯に対して、子ども一人あたりの加算額を100万円に増額いたします。
「『学ぶ力』向上事業」は、市立小・中学校全児童生徒の学習教材として、タブレット端末で学べるAIドリルの導入を支援し、一人ひとりの学習スタイルに応じた学び方の効果検証を行いながら、学力の向上を目指すものであります。
「小・中学校改築事業」では、現在整備を進めている石川小・中学校及び第二中学校に加え、令和5年度からは、建築から50年以上が経過し、老朽化が進む桔梗野小学校の改築に向けた調査に着手することで、子ども達が安心して教育を受けられる環境の充実を図ってまいります。
9ページをご覧ください。
(2)「社会経済状況及び市民ニーズの変化を踏まえた取組の推進」についてであります。
デジタルトランスフォーメーションの取り組みのうち、
「AI・IoT・RPA等先進技術導入検討事業」は、市のホームページ上で市民の問い合わせに自動的に回答できるAIチャットボットを導入し、利便性の向上を図るものであります。
「りんご産業イノベーション実装事業」では、りんごの摘果に関するAIアプリの開発や、VRを活用した剪定技術の育成体制を構築してまいります。
グリーントランスフォーメーションの取組である、「地域エネルギープロジェクト事業化支援事業」は、二酸化炭素排出量の削減につなげるため、公共施設等への再生可能エネルギー設備等の導入可能性を検証するものであります。
「水防事業」の拡充は、昨年8月の大雨による床上浸水被害を踏まえ、排水ポンプシステムを導入するものであり、今後の大雨による水害を防止、軽減してまいります。
10ページをご覧ください。
(3)「市民協働による取組の推進」についてであります。
「地域に踏み出すひとづくり推進事業」では、まちづくり活動に意欲はあるものの一歩踏み出せない方などを対象に、職業や年代を越え、将来にわたって気軽に協力し合えるコミュニティを創出するとともに、地域で活動する人と連携し、既存の地域活動への参加等を通して、まちづくりの当事者を育成してまいります。
「ひろさきガイド学校運営事業」は、新たに開設する「ひろさきガイド学校」において、観光ガイドを育成するための養成講座等を実施するもので、多様な観光ニーズに応じ地域の魅力を伝える有償・無償ガイドなど、様々な観光ガイドが活躍できるよう、地域のガイド基盤の構築・強化を図ってまいります。
以上が、令和5年度に実施する主な取り組みとなります。
概要の11ページ以降は、各会計の予算額、主な増減、基金及び地方債の現在高、個別事業の概要などとなっておりますので、ご参照くださるようお願いいたします。
今後も、社会環境の変化に即応した効率的・効果的な取り組みを積極的に行っていくとともに、地域経済の回復、地域資源の活用に取り組み、将来につながる持続可能な財政運営を行いながら、総合計画後期基本計画を着実に進めてまいります。
次に、除排雪の状況についてであります。
今冬の気象状況につきましては、12月初めより低温が続き、12月中旬や年始にかけてのまとまった降雪がありましたが、その後は比較的穏やかな天候となり、1月15日には一時積雪が31cmまで落ち着きました。しかし、1月下旬からの10年に一度と言われる強い寒波の影響で大雪となり、1月31日には現時点で今シーズン最大の91cmの積雪深を観測し、半月の間で60cmもの積雪が急激に増加いたしました。
これに対し、市では、12月からの市民開放型雪置き場の早期開設のほか、冬休み明け前の通学路や幹線道路の排雪などの道路拡幅作業を順次取り組んでまいりました。
また、1月24日から26日にかけて大雪となり、その後も降雪と低温が続き、積雪の増加が見込まれたことから、1月26日に「弘前市豪雪警戒本部」を設置し、警戒態勢に移行するとともに、雪による被害状況の把握と、通学路や幹線道路、幹線農道を中心とした除排雪の徹底のほか、市民開放型雪置き場に関する市民へのさらなる周知や、除雪困難者に対する緊急対応実施のための支援体制の構築など、市民生活に支障が出ないよう、事前の対応などを関係部署に指示しております。
さらに、気象庁の長期予報では、2月中旬まで気温が低く、降雪量も多くなる見込みであったことから、除排雪経費を1月20日と2月1日の2回の専決処分により合計18億円とし、引き続き通学路や幹線道路の除排雪作業のほか、交通渋滞の解消に向け、交差点の雪山や車両のすれ違いが困難な箇所の排雪等を重点的に進めているところであります。
県との連携につきましては、これまでも市民からの除排雪に関する要望や、共同で利用している町田雪置き場の開設状況について情報共有を行っております。
県では今冬の大雪を受け、2月2日には「青森県豪雪警戒本部」と「青森県道路雪害対策本部」を設置し、気象や道路に関する情報収集に努めるとともに市町村とも連絡を緊密にするとしており、市といたしましても、より一層県と連携した除排雪に取り組んでまいります。
引き続き生活道路における拡幅作業の予定時期や状況を、市ホームページで公表するなどの情報発信に努めるとともに、市内の大学や事業者が、地元町会と連携した地域での除排雪活動の実施など、市民の皆様のご協力も得ながら、安全で安心な市民生活の維持のため、協働による雪対策に取り組んでまいります。
嶽温泉郷の源泉の温度が下がり、湯量も少なくなった影響で、温泉旅館やホテルが通常営業できない事態が続いています。市は源泉に通じる道の除雪に協力しましたが、今後、旅館・ホテルの営業再開や継続に向けた支援について、どのようにお考えでしょうか。
嶽温泉の源泉における温度低下及び湯量の減少については、昨年12月28日に四つある源泉の一つに不具合が生じ、旅館・ホテル等の営業に支障をきたす状態となったものであります。
市では、復旧を目指した配管取替工事の際に除雪支援を行いましたが、温度や湯量に改善が見られませんでした。その後、1月18日に開催された嶽温泉旅館組合の会議では、まずは雪どけを待って四つの源泉の一つで、配管の不具合で現在使用していない自然湧出している源泉からの配管を修繕し使用することになったと報告を受けております。
今後、温度や湯量の回復に関して嶽温泉旅館組合としてどうしていくか、話し合いを行っていると報告を受けていることから、組合の検討結果を待ち、市に支援の要請があった場合は、対応を検討したいと考えております。
予算案について、今年度リーディング事業として「健康都市弘前」の実現に重点を置いているとのことで、新規事業というよりは比較的従来の事業の拡充にポイントを置かれている印象を受けました。改めて何故、今「健康都市弘前」を目指しているのか、その背景についてとこれまでの取り組みを踏まえて、新年度予算案の中での「健康都市弘前」に関する予算付けというのは市長の中でどういう位置づけ、段階に入っているか、それぞれお願いします。
これまで市政運営を行ってきた中で、新型コロナウイルスの感染拡大という状況を受けて、やはり健康であることの大切さ、重要さが一番だと実感したところであります。その中で市民の方々が健康で長く活躍していただける、それにとどまらず雇用の確保、所得の向上といったことも併せて進めていかなければならない。そのためには、健康医療関連産業の誘致、弘前大学COIネクストで取り組んできている実績ある弘前市でありますので、この関連産業等の誘致を進めながら、雇用の確保、所得の向上を図っていく、そして経済も回していく。この両輪が相まって「健康都市弘前」の実現になると考えておりますので、今回「健康都市弘前」の実現に向けた、その開幕となる予算と考えております。
今お話しされた開幕というのは、具体的な事業で言うと、どのあたりと認識していますでしょうか。
健康ということについては、健康増進を含めた「ひとの健康」、経済が回る「まちの健康」、次の時代を担う子どもたちの「みらいの健康」この3つの健康を重点的に取り組むリーディングプロジェクトとしております。その中で、まず、子ども医療費の完全無償化があります。子どもたちの未来ということでは、石川小・中学校、第二中学校の改築、それに続いて桔梗野小学校の改築についても進めていく「小・中学校の改築事業」、そして経済の面でいくとひろさきガイド学校の運営を行うといったところがあります。さらに安心安全という意味では、昨年8月の大雨を受けまして、市独自に排水ポンプシステムを導入する水防事業や、あるいは国民健康保険料の引き下げ、子どもたちのタブレット端末を活用したAIドリルの導入などによる学ぶ力の向上といったこと、そしてハード整備として「健康づくりのまちなか拠点整備事業」といったことが主なものとして挙げられます。