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過去のブログ(令和2~4年度)

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 令和元年度(2019年度)以前のブログはこちらです

令和4年度(2022年度)

令和5年3月21日(火)
特別企画展2ラストスパート!

博物館では、1月14日(土)から特別企画展2「サルバドール・ダリ」を開催しています。

おかげさまで毎日たくさんのお客様が熱心にダリの作品を観覧されています。

そんな大盛況の展覧会ですが、いよいよ3月26日(日)で閉幕となります。

まだご覧になられていない方はお早めに!

歴史展示室の途中から特別企画展展示が始まります。

始めは、イタリアの詩人ダンテの叙述詩「神曲」を描いた作品が続きます。

美術工芸展示室からは、ピカソやレオナルドダヴィンチなどの肖像画や、小説の挿絵を描いた作品を展示しています。

第二会場の特別展示室では、シュルレアリスム(超現実主義)の作品を展示しています。日本の昔話を描いた作品もあり、ダリの多才な一面を見ることができます。

博物館ホールには、記念撮影可能なフォトスポットがあります。

ダリのヒゲをイメージしたアクリル板がありますので、ダリになりきって記念撮影できます。

残り一週間、ダリの作品を間近で見ることの出来る貴重な展覧会ですので、ご家族・ご友人お誘いあわせのうえ、ぜひ博物館へお越しください。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年3月7日(火)
春の訪れ

3月に入り、毎日暖かい日々が続いています。

弘前公園内の雪解けも日々進んでいます。

弘前市民会館前の敷地から博物館への道はもうほとんど雪はありません。

つい先週まで積雪があり、冬靴でないと歩けませんでした。

博物館前庭の雪

博物館前庭の雪はまだ解けません。

博物館入口までは積雪はありませんので安心してご来館ください。

博物館前庭のヒメコブシの蕾もずいぶんと大きくなりました。

他の木々にはまだ蕾は見られません。

博物館裏手の杉の大橋が架かる中濠の水はまだ氷に覆われています。

もう少し経つと土手にふきのとうが生え始めます。

博物館周辺を飛び回るシジュウカラも地面に降りて餌探しをしています。

人が近くにいても逃げません。

 

自然に囲まれた弘前公園内にいると、毎日季節の移り変わりを感じることができます。

来週にはもっと春めいているでしょう。皆さんも弘前公園で春を探しませんか?

 

(おにぎり)

 

 

令和5年2月28日(火)
もうすぐ「ひな祭り!」

明日から3月です。3月3日といえば「ひな祭り」。

ひな祭りには雛人形を飾るお宅も多いと思います。

博物館では様々な雛人形を収蔵しています。

今回は、そのいくつかをご紹介します。

なお、今回の画像は以前の展示風景を写したものですので、現在は展示しておりません

こちらは、2004年に青森県立弘前工業高等学校が制作した「津軽こぎん雛」です。

津軽の伝統刺繍「こぎん刺し」の着物に身を包んだ雛人形です。男雛と女雛の前にあるのは、合わせ貝を納めた貝桶です。男雛・女雛以外にも、三人官女や五人囃子などがあります。

 

こちらは、大正時代の内裏雛です。現在の雛人形と一緒ですね。女雛は十二単衣を身にまとい、髪型はおすべらかしです。手には檜扇を持っています。男雛は束帯を身にまとい、頭には冠、手には笏を持っています。

 

こちらは、江戸時代後期の享保雛です。現在の雛人形と比較すると大きいです。享保雛が作られた時代はとても裕福であったため、衣装もとても豪華で高級なものが作られました。しかし、この後不況となり、贅沢禁止令のもと雛人形も小型になりました。

 

こちらは、山形県で昭和期に作られた「ちよびなさま」です。立雛に分類され、男雛は小袖に袴姿で手を左右に開き、女雛は筒状に作られた長着の上に細い帯を締めているのが特徴です。最も古い雛人形の形式を伝えています。

 

こちらは、大正~昭和前期の雛段かざりです。上から内裏雛、三人官女、五人囃子、随身、仕丁です。この下に雛道具などが続きます。雛人形は当初、男雛・女雛のみ飾られていましたが、江戸時代中頃からこのような雛段で飾られるようになったと言われます。ひな祭りは令和の現在でも変わらずに伝えられる日本の伝統行事です。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年2月21日(火)
弘前公園の冬の風物詩(Part2)

以前ご紹介した弘前公園の冬の風物詩「雪吊り飾り」の続きです。

今回は、縄文関連の雪吊り飾りをご紹介します。

 

一つ目は、土器。縄文土器でしょうか?縄文土器は粘土に縄を押し付けて作成した縄目文様が特徴的です。雪吊り飾りは縄で作られているので、全体が縄目文様となっており、まさに縄文土器を表現しているのが面白いですね。

 

二つ目は、ハート型土偶。顔がハート型となっているのが特徴的な土偶です。群馬県東吾妻町郷原出土のものが特に有名ですね。丸い大きな目と大きな鼻が描かれているので、これはその土偶をモデルとしている可能性が高いです。

 

三つ目は、縄文家族。夫婦でしょうか?右側の人はヒゲがあり、弓を持っています。左側の人は頬紅があり、イヤリングをしています。とてもコミカルで可愛らしい飾りです。

 

四つ目は、縄文人の衣装を着た二宮金次郎像です。こちらは雪吊り飾りではありません。二宮金次郎像は、弘前公園・二の丸・丑寅櫓前の池山にあります。この像の周囲の雪吊り飾りが縄文関連なので縄文衣装で合わせているのでしょう。よく見ると釣りをしています。本を読みながら魚を釣るなんて器用ですね。

 

最後は猪形土製品。弘前市立博物館のマスコットです。よく見ると胴体にある特徴的な模様が表現されています。現在開催中の特別企画展2「サルバドール・ダリ」でも猪形土製品は展示しておりますので、ぜひ見に来てください。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年2月14日(火)
冬の祭典

弘前公園冬のお祭りと言えば、「弘前城雪燈籠まつり」です。

今年は、2月9日(木)から12日(日)まで開催されました。

雪で作成した燈籠にねぷた絵をはめ込んで、明かりを灯します。

弘前公園内あちこちに設置され、とても幻想的な風景です。

今年の目玉は、旧函館区公会堂の大雪像です。旧函館区公会堂は、函館市にある国の重要文化財に指定されている歴史的建造物です。夜にはプロジェクションマッピングで様々に移り変わる映像を楽しむことができました。

こちらは津軽錦絵大回廊です。実際に運行で使用されたねぷた絵を用いて作成されています。会場ではねぷた囃子も流れていて、真冬に真夏のねぷたを楽しむことができました。

こちらはイルミネーションカマクラです。LEDでライトアップされた光のかまくらが夜に浮かび上がり、とても幻想的な様子でした。中に入ることもできました。

橋の上には、ねぷた絵で彩られた行灯「錦の灯り」が足元を照らしてくれます。

 

雪国ならではの雪と光のコラボレーションに魅せられました。

今年行けなかった方も来年はぜひご参加ください。

博物館もよろしくお願いします。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年2月7日(火)
博物館のマスコットキャラクター

弘前市立博物館のマスコットキャラクターと言えば皆さんご存知の「猪形土製品」です。

愛称は「いのっち」です。

昭和35年に市内の十腰内(2)遺跡から出土し、平成23年には国の重要文化財に指定されました。

 

この「いのっち」を幅広く活用するため、平成27年に市内の中学生の作品をもとにキャラクターデザインを決定しました。

 

昨年より博物館ロビーのフォトスポットなどで各展覧会に合わせた風貌の「いのっち」が観覧者をお出迎えしました。

特別企画展1「歌川広重 二つの東海道五拾三次」フォトスポット

 

東海道五拾三次がテーマなので、江戸時代の旅装束を身にまとった「いのっち」です。腰紐は「いのっち」のお腹の模様と同じデザインです。凛々しい表情が衣装に良く合っています。

 

企画展2「弘前ねぷた300年 -これまでの300年、これからの300年-」フォトスポット

 

2022年は「ねぷた」が文献に登場して300年目の節目の年ということで、弘前市のマスコットキャラクター「たか丸くん」の弘前ねぷた300年祭バージョンがデザインされました。左側に写るのがその「たか丸くん」です。「たか丸くん」を参考に「いのっち」も同じ半被を着たデザインで作成しました(写真右側)。手には「津軽藩ねぷた村」で制作・販売されている「青森縄文いのっちねぷた」を持っています。

 

企画展3「青森県の版画家たち」フォトスポット

 

左側に写るのが、版画家に扮した「いのっち」です。写真が小さくて分かりにくいのですが、手には「いのっち」の版画を持っています。頭の手ぬぐいは、こぎん刺し模様です。右側は10月末から11月上旬までの期間限定で登場したハロウィンバージョンです。

 

特別企画展2「サルバドール・ダリ」

 

現在も開催中の特別企画展2では、「ダリ」に扮した「いのっち」が博物館入口で来館者をお出迎えしています。なんとこの「いのっち」はヒゲと右腕が動きます。どう動くかは実際に来て確認してみてください。博物館のインスタグラムには動く様子の動画を投稿していますので、来られない方はインスタグラムをご覧ください。

 

今後も様々な形で登場しますので、どうぞ「猪形土製品」と「いのっち」をよろしくお願いいたします。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年1月31日(火)
弘前公園の冬の風物詩(Part1)

弘前公園では雪の重みから樹木の枝を守るため、枝に縄などで雪吊りをします。
その際、樹木のてっぺんに様々な飾りを施すのが恒例となっています。

今回は、弘前公園内で見つけた雪吊り飾りをいくつかご紹介します。

 

 

こちらは「鶴」ですね。縁起物です。大きく羽ばたく二枚の羽や、黒い体毛もよく表現されています。白鳥は飛んでいるのをよく見かけるのですが、鶴はこのへんでは見かけることがありません。弘前公園で鶴を見てみたいです。

 

 

こちらは「亀」です。縁起物で鶴と来ればやはり亀ですね。こちらも甲羅の模様や長い尾のようなもの(藻や苔だそうです)も表現されています。画像では分かりにくいですが、甲羅のところに人型のようなものが付いています。亀の背に乗っているのあれば浦島太郎でしょうか?

 

 

こちらは「門松」です。上二つと違い、縄だけでなく竹と松の葉を用いて作られています。最近は、お店以外では門松を飾る習慣が少なくなったため、珍しいものとなってしまいました。

 

 

こちらは「兎」です。今年の干支です。月をバックに跳ねる兎は絵になります。このほかにもいろいろな兎の雪吊り飾りがたくさんありました。

 

 

こちらは「竜」です。来年の干支ですが、一年早くの登場です。竜自体縁起物なので毎年見かけます。おそらく来年はたくさんの竜を弘前公園内で見かけることになるでしょう。

 

弘前公園内にはまだまだ多くの雪吊り飾りがあります。今回ご紹介出来なかったものは後日ブログに掲載予定です。お楽しみに!

 

(おにぎり)

 

 

令和5年1月24日(火)

今年は卯年!

今年の干支は卯(ウサギ)です。

そこで今回は、博物館所蔵のウサギに関連した作品をご紹介します。

木村弦三コレクション 土人形 「玉うさぎ」

 

土人形のウサギです。玉のように丸まったウサギがとても可愛らしいです。当館は様々な土人形を収蔵していますが、虎や牛に比べてウサギは少ないです。金運や長寿など縁起物の象徴とされるウサギなので他の博物館ではたくさん所蔵されているかもしれません。

 

割符 「兎」

 

割符とは、ぴったりと合わさる二つの木片などを別々の人間が所持し、互いに合わせることでお互いの信用の証としたものです。このウサギの割符も二つに別れていて、正しいもの同士でないと合わさりません。画像では分かりにくいですが、下面(ウサギの足裏)には文字が彫ってあります。これも正しい相手と合わさった時にだけ一致するようになっています。残念ながら当館にはこの割符の片方しかございません。今もどこかに片割れが存在しているかもしれませんね。

 

阿部義夫 「干支凧絵 金太郎と兎」

 

ねぷた絵師の阿部義夫が描いた凧絵です。干支凧絵の名の通り、十二支分の凧絵があります。卯年のテーマは金太郎です。金太郎は熊をはじめとする森の動物たちを友として育ちました。ウサギもその中の一匹です。この凧絵ではとても仲良しに見えますね。

 

奈良岡正夫 「山羊と兎」

 

奈良岡正夫は、弘前市出身の洋画家でねぷたまつりや山羊の絵を数多く描きました。この作品でも山羊を題材としており、同じ牧場で飼われていると思われるウサギと対峙しています。お互いに顔見知りなのでしょう、優しく見下ろす山羊と近づこうとするウサギの間柄が想像できそうです。

 

斎藤正コレクション 「うさぎと波」

 

こちらは作者不明の作品です。大きな目玉のウサギがユニークですね。何の場面を描いたものかは不明ですが、白いウサギが海を渡る姿は古事記に登場する「因幡の白兎」を連想させます。ワニザメを騙してその背中を飛んで海を渡るシーンに見えなくもないです。単に太陽を背に跳躍するウサギの姿を縁起物として描いたのかもしれません。皆さんにはどう写りましたか?

 

今年がウサギのように飛躍した年となりますように。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年1月17日(火)
特別企画展2「サルバドール・ダリ」開幕!

1月14日(土)より、特別企画展2「サルバドール・ダリ」を開催しています。

既にたくさんのお客様にご来館いただき、賑わっております。

本展覧会では、ダリの版画作品を中心に彫刻・写真など多数の作品を展示しております。

弘前市立博物館でダリ単独の展覧会は今回が初めてですので、開始前から見に来たいとの声を多くいただいていました。

博物館ホールのバナー

 

前日の13日(金)には、関係者と報道機関を招いて開会式を行いました。

市長代理として、吉田教育長が開会の挨拶をしました。

開会の挨拶をする吉田教育長

 

その後、内覧会を行い各々に展示作品を鑑賞いただきました。皆様熱心に作品を鑑賞されて時間いっぱいまで館内は賑わっていました。

内覧会のようす

 

様々な報道関係の皆様から取材いただき、その日のうちに報道いただいたところもありました。

ご覧になられた県内の方も多いと思います。

取材を受ける吉崎館長

 

特別企画展展示作品は今回撮影不可なのですが、博物館ホールには記念撮影可能なフォトスポットを設置しました。

フォトスポット

 

顔出し部分にはヒゲのオブジェがあり、ダリになりきって写真撮影ができます。お子様用の踏み台もありますので、ご家族で撮影できます。休日には沢山の方が撮影されていました。

 

特別企画展2「サルバドール・ダリ」は3月26日(日)まで開催しております。皆様お誘いあわせのうえご来館いただき、ぜひダリの世界観を堪能してください。

 

(おにぎり)

 

 

令和5年1月10日(火)
今年度を振り返って4

昨年末から始まりました、弘前市立博物館今年度の振り返りも今回が最後です。

 

最後は、令和4年10月8日(土)から12月18日(日)まで開催した企画展3「青森県の版画家たち」。

 

本展覧会では、弘前市出身の世界的版画家である天野邦弘をはじめ、下澤木鉢郎や今純三を中心とした青森県を代表する版画家の作品を展示しました。

 

天野邦弘 Morning 23

 

天野氏の作品は、表面が盛り上がった加工(エンボス加工)が特徴です。画像では分かりにくいですが、中央の鳥や左上の太陽は背景より盛り上がっています。作品を直接鑑賞して初めて感じられる特徴ですね。

上の画像の作品では、2羽の鳥の体が幾何学的な模様で表現されています。ひとつひとつのデザインが異なっていて、頭が同じでも全く異なる感情を持っているかのように感じられます。

 

今純三 青森縣画譜 津軽為信公銅像

 

この作品は1933年に制作されたものですが、当時弘前公園内には弘前藩初代藩主津軽為信公の銅像がありました。しかし戦争時の金属回収令により回収され現在は存在しません。その後、2004年に弘前文化センター前に津軽為信公の銅像が新たに設置されました。ちなみに現在博物館ロビーに展示している津軽為信公像(石こう)は、その作成時の原型となったものです。

この版画は、失われた当時の銅像を現代に残す貴重な資料でもあります。

 

下澤木鉢郎 一服休み

 

タバコを片手にストーブで暖を取る姿がまさに一服休みですね。その穏やかな表情を見ていると、こっちもなんだか安らぐような気がします。

下澤木鉢郎は、弘前市出身で棟方志功が版画家を目指すきっかけになった人物だと言われています。旅が好きで、画材を詰めたリュックを背負って日本全国を渡り歩きながら作品を制作したそうです。

 

加藤武夫 スケッチ弘前八十三景

 

こちらは50年ほど前の弘前市内をスケッチした作品です。

左上が弘前駅、右上は裁判所前、左下は仏舎利塔、右下は弘前大学です。弘前駅の駅舎は建て替えのため現在とは姿が異なりますが、他はほぼ現在と同じ風景です。このほかにも市民体育館や鍛冶町など弘前市内の様々な風景があり、当時との違いなどを楽しむことができました。

 

高木志朗 さんまとレモン

 

この作品を見ると無性にサンマの塩焼きが食べたくなります。添えられているのはレモンですが、すだちやかぼす、柚子など人によって好みが様々別れると思います。私はレモン派です。

高木志朗は、版木の木目を生かした版画作品が特徴です。この作品も木目が良く表れています。サンマを載せている木板が本物のように見えますね。

 

令和4年度最後の展覧会は、1月14日(土)より特別企画展2「サルバドール・ダリ」を開催します。

版画作品を中心にたくさんの作品を展示しますのでお楽しみに!

 

(おにぎり)

 

 

令和5年1月4日(水)
今年度を振り返って3

明けましておめでとうございます。

今年も弘前市立博物館をよろしくお願いいたします。

 

さて、昨年に引き続き今年度の展覧会を振り返っていきます。

今回は、令和4年7月23日(土)から9月25日(日)まで開催した企画展2「弘前ねぷた300年 -これまでの300年、これからの300年-」。

 

冬真っただ中ですが、弘前の夏祭り「弘前ねぷたまつり」の展示のご紹介です。

令和4年は「ねぷた」が1722年の藩庁日記(御国)に登場して300年の節目の年でした。

本展覧会では、竹森節堂、石澤龍峡、長谷川達温ら弘前ねぷた界に大きな功績を残した先人たちのねぷた絵から近年のねぷた絵を展示しました。

 

三浦呑龍「ねぷた鏡絵 源平布引滝~義賢最期~」2022年

 

上記の作品は、令和4年5月に香川県の琴平町で開催された「四国金毘羅ねぷた祭り」で出陣したねぷたの鏡絵です。弘前市との合同で開催された本祭は大勢の方で賑わったそうです。初めて生でねぷた運行を見た琴平町の方々には、勇壮な武者絵が夜の街を練り歩くねぷた祭りはどのように映ったのでしょうか。

 

左:竹森節堂「ねぷた見送り絵 西王母」、右:川村麗巴(復元)

 

上記左の作品は、1965年に竹森節堂氏が描いたねぷた見送り絵ですが、年月を経て特に緑色が退色していました。そこで2018年にねぷた絵師の川村麗巴氏によって復元されました。その際に、竹森節堂氏ゆかりの緑の染料が用いられ、当時の姿を現代に蘇らせました。

 

 

上写真は、弘前市内のねぷた団体の半纏を展示したものです。写真には入りきらないのですが、たくさんの団体にご協力いただき、お借りすることができました。ねぷた運行時にはねぷたにばかり目が行きがちですが、各団体ごとに趣向を凝らした様々なデザインの半纏を身にまとっていますので、次回のねぷた祭りのときは、ぜひ半纏にも注目してください。

 

 

上写真は、左から黒石市非公認ローカルヒーロー(想定)「お祭大将ヤーレヤン」、弘前市非公認ローカルヒーロー「お祭大将ヤーヤドン」、同じく「お祭大将ヤーヤドン(為信の姿)」、平川市非公認ローカルヒーロー「お祭大将ドンコドン」です。博物館ロビーにてその衣装を展示させていただきました。本展覧会を見に来られた方の多くが立ち止まり、まじまじと眺めていられました。

 

 

昨年は3年ぶりに弘前ねぷたまつりが開催されました。今年も夏に無事ねぷた祭りが開催されますよう願っています。

 

(おにぎり)

 

 

令和4年12月26日(月)
今年度を振り返って2

前回に続き、今年度の展覧会を振り返っていきたいと思います。

今回は、5月21日(土)から7月10日(日)まで開催した特別企画展1「歌川広重 二つの東海道五拾三次」。

 

浮世絵師・歌川広重の名を一躍有名にした大ヒット作「東海道五拾三次」をご存知の方も多いと思います。「東海道五拾三次」は、江戸の日本橋から京都の三条大橋までを結んだ東海道の53の宿場町を描いた浮世絵です。

本展覧会では、最初に出版された「保永堂版」と、その15年後に出版された「丸清版」の二つの「東海道五拾三次」を同時に展示し、歌川広重の作風の変化を楽しむことができました。

 

当時描かれた風景も時代の流れとともに変化するところも多いですが、中には当時の面影を残す風景もあります。

歌川広重 東海道五拾三次 平塚 保永堂版 個人蔵

 

大正時代の平塚

 

平成初期の平塚

 

上の画像は、全て東海道の神奈川県・平塚です。

街道から見える高麗山は時代を経ても変わらないですね。こういうところは東海道のあちこちにあります。

 

今回の展覧会を記念して、藤田記念庭園にある「クラフト&和カフェ匠館」さんでタイアップメニュー「旅する広重プレート」を提供いただきました。

※現在は提供していません

右から、広重ブルーを表現したゼリー、三度笠の形をした栗最中、安倍川餅風白玉団子です。

見た目にも美しく、とても美味しいスイーツです。

他にも店内にて様々な広重グッズを販売して展覧会を盛り上げていただきました。

 

また、永谷園さんのご厚意によりお茶漬けで貰える「東海道五拾三次カード」をお借りして展示しました。

全55枚を一堂に眺められる貴重な展示でした。

自力で55枚をコンプリートするのはとても大変です。

 

(おにぎり)

 

 

令和4年12月20日(火)
今年度を振り返って1

ご無沙汰しております。

久しぶりの弘前市立博物館ブログ更新です。

 

今年もあとわずかということで、今年度の展覧会を振り返っていきたいと思います。

まずは、4月2日(土)から5月8日(日)まで開催した企画展1「弘前の文化財」。

 

弘前を代表する貴重な文化財を展示しましたが、中でも注目すべきは円山応挙筆「返魂香之図(はんごんこうのず)」です。

円山応挙 返魂香之図 久渡寺蔵

 

弘前市の久渡寺が所有する作品で、令和3年に弘前市有形文化財に指定されました。毎年久渡寺にて旧暦の5月18日のみ公開されていますが、市有形文化財指定を記念して特別に博物館で展示させていただきました。円山応挙の幽霊画は数多く存在しますが、国内で公的に真筆と認められたのは返魂香之図が初です。

4月29日(祝・金)には、久渡寺の住職、須藤様による講話を開催しました。古くから久渡寺で返魂香之図を公開する日には雨が降ると言われていますが、実はこの講話を開催した日にも雨が降りました。久々に久渡寺の住職に会ってホッとしたのかもしれませんね。

 

次にご紹介するのは、「参勤道中記」です。

参勤道中記 清藤家コレクション 館蔵

 

参勤道中記 複製

 

本資料は、弘前藩津軽家の参勤交代の下り道中の道筋を描いた絵図です。江戸をスタートして弘前城までの720kmの旅程を全て描いています。その長さは全長約46.5mにもなります。絵図の冒頭には、江戸の新吉原町と浅草寺の遠景が描かれ、末尾には弘前城から眺める岩木山で終わっています。

この絵図を眺めると、道中の名所を見ながら実際に旅をしたような感覚になりますが、当時徒歩で東京・弘前間を歩いた人々はとても大変だったでしょう。

 

最後に弘前の文化財で忘れてはならないのが、当博物館のマスコット「猪形土製品」です。

猪形土製品 館蔵

 

1960年に弘前市十腰内(2)遺跡の発掘調査で出土し、2011年に重要文化財に指定されました。2009年にはイギリスの大英博物館でも展示されました。

当時の土製品としては珍しく、猪の姿形を正確に表現していて、お尻の穴まであります。その愛らしい姿からファンも多く、当館を訪れる方の多くは写真に収めています。

こちらは常設展にて展示しておりますので、一部展覧会を除き年中(開館日のみ)ご覧になれます。

 

いのっちグッズ 博物館後援会

 

猪形土製品およびキャラクター(いのっち)のグッズ(博物館後援会)を博物館受付にて販売しております。クリアファイル2種、トートバッグ、消しゴム、マスキングテープ、ポストカードです。ご来館の際は、ぜひお買い求めください。

 

(おにぎり)

 

 

令和4年5月25日(水)
昔の旅は大変です

5月21日(土)から弘前市立博物館にて特別企画展1「歌川広重 二つの東海道五拾三次」を開催しています。

歌川広重と言えば最も有名なのが浮世絵「東海道五拾三次」です。

学校の教科書にも載っており、多くの方がその名をご存知と思います(安藤広重の名で習った方もいらっしゃると思います)。

歌川広重の描いた浮世絵「東海道五拾三次」は一つではなく、生涯で20種類以上描いたとされています。

 

今回の展覧会では、歌川広重が最初に描いた保永堂版と、その15年後に描かれた現存数の少ない丸清版を展示しております。

「東海道五拾三次」は江戸の日本橋から京都までを描いており、その道中にある53の宿場が題材となっております。保永堂版・丸清版ともに出立地(江戸)と到着地(京都)を含む55枚で構成されています。

 

東海道五拾三次 箱根 保永堂版 個人蔵

 

東海道五拾三次 箱根 丸清版 公益財団法人 日動美術財団蔵

 

こちらは「箱根宿」です。箱根は今でも観光地として有名ですが、東海道随一の難所である箱根峠の途中に宿場がありました。

上の保永堂版では、反り立つ山の岩肌を多彩な色で表現しており、いかに険しい峠であったかがうかがい知れます。険しい山だけでなく、崖下の蘆名湖や富士山の景色も美しい場所です。

下の丸清版では、夜の箱根峠を描いています。大きな松明を手に登っていく人々の姿があります。この時代は峠に明かりは無いでしょうから、真っ暗だったでしょう。山もおぼろげで暗さを引き立てます。

 

東海道五拾三次 嶋田 保永堂版 個人蔵

 

東海道五拾三次 嶋田 丸清版 公益財団法人 日動美術財団蔵

 

こちらは「嶋田宿」です。嶋田宿と金谷宿との間にあるのが一級河川、大井川ですが、軍事的見地から橋を架けられず、船の渡航も禁止されていました。そのため川越人足を雇い、肩車や連台に乗って渡航するしか方法はありませんでした。

増水した時には何日も足止めをされることもあったそうです。

上の保永堂版では、俯瞰で見た構図となっています。大名行列の一団が川越人足を雇って川を渡る様子が描かれています。

下の丸清版では、連台に乗る人、肩車される人、籠に乗る人や荷物など細かく描かれています。

 

今回ご紹介したもの以外にも本展覧会では、保永堂版・丸清版ともに55枚を展示しております。画面ではとらえきれない刷りや彫りの妙がありますので、ぜひ実物を見に博物館へご来館ください。

 

(おにぎり)

 

令和3年度(2021年度)

 

令和4年2月19日(土)
弘前公園で見つけた縄文

博物館は、新型コロナウイルス感染症感染拡大防止のため、現在臨時休館中です。

 

弘前公園では冬の間、雪が付着した重みで枝が折れないように周りを木で囲う雪囲いや、縄で枝を補強する雪吊りが行われています。

雪吊りの頭飾りにも毎年趣向を凝らしており、どんな飾りがあるか探しながら園内を散策するのも冬の楽しみ方の一つです。

今回は、この冬に弘前公園内で見つけた縄文土器等の面白い雪吊り飾りをご紹介します。

まずは「遮光器土偶」。亀ヶ岡遺跡の遮光器土偶がモデルと思われます。

とても可愛らしいデザインですね。

 

こちらは「縄文土器」。粘土に縄を押し付けて模様を作るのではなく、縄そのもので模様を作るところが面白いですね。

 

こちらは「合掌土偶」。八戸市で出土した国宝の土偶がモデルですね。

周りの囲いが竪穴式住居のようで、岩の上にちょこんと座る姿が可愛らしいです。

 

最後は「猪形土製品」。弘前市立博物館のマスコットキャラクターです。

胴体の模様も再現されています。

よく見ると牙や耳も細かく作られていますよ。

 

 

今回ご紹介したもの以外にも弘前公園内には沢山の雪吊り飾りがございます。

新型コロナウイルス感染症の予防に気を付けて、皆様も散策されてはいかがでしょうか。

 

(おにぎり)

 

 

令和4年1月31日(日)
煌びやかなミクロの世界へ

博物館は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在臨時休館中です。

そこで、本来は今期開催しているはずだった企画展4「お雛様と吉祥画」の展示物の中から、今回はとても精密なミニチュア作品の数々をご紹介します。

雛道具「将棋盤」、大正時代

 

写真ではわかりにくいのですが、将棋盤のサイズは5cm×5cmほどで、将棋駒も全て文字が書かれています。

 

雛道具「文台」・「硯箱」、大正時代

 

硯箱の中の筆は3cmほどです。実際に墨をすって使えそうなほど精巧です。

 

雛道具「五曲揃」 大正~昭和時代

 

雛道具といえば琴、三味線、胡弓の「三曲」ですが、こちらは鼓と笛が追加されています。

 

「昔のままごと玩具」 昭和初期か

 

雛道具はままごと遊びの元祖と考えられています。

今の家庭でほとんど見かけない竈や醤油樽などが時代を感じさせます。

 

 

現在でも身近な生活用品等の精巧なミニチュアはよく見かけます。ずっと昔に雛道具として作成されていた物がこれほど精巧だとは当時の職人の技に驚くばかりです。

企画展4「お雛様と吉祥画」では、この他にも津軽家雛道具や津軽地方の雛人形など沢山の展示物がございます。

博物館の臨時休館は2月末までを予定しておりますので、予定通りに再開できた際には、雛祭りに合わせて企画展4「お雛様と吉祥画」をぜひご覧ください。

 

(おにぎり)

 

 

令和4年1月16日(日)
志功ねぷた冬の陣!

博物館では現在、企画展4「お雛様と吉祥画」を開催しています。

今回はその展示物の中で、「棟方志功」のねぷた絵をご紹介します。

鏡絵「天乃磐戸」、棟方志功作、昭和46年

 

日本神話で有名な、天乃磐戸(あまのいわと)に籠ってしまった天照大御神(あまてらすおおみかみ)を表に出そうと神々が奮闘するシーンです。

鏡絵にはかがり火をかかげて踊る天鈿女命(あめのうずめのみこと)と、岩戸を開こうとする手力男神(たぢからおのかみ)が描かれています。

天照大御神が籠ってしまって闇に閉ざされた世界に再び光を取り戻そうと必死です。

 

見送り絵「天照大御神」、棟方志功作、昭和46年

 

天の岩戸から天照大御神が出てきて世界に光が戻った様子を描いています。

鏡絵とセットになっています。

棟方志功は、取材旅行のため立ち寄った宮崎県高千穂町で天岩戸を見てこの絵の着想を得たそうです。

現在世界を覆うコロナ禍という闇にも早く光が戻るよう祈っています。

 

(棟方志功のねぷた絵を飾るようす)

 

(棟方志功のねぷた絵を飾るようす2)

 

ねぷた絵は大きいので、昇降機を2台使って吊るします。

大人数で慎重に作業しました。

 

企画展4「お雛様と吉祥画」では、新年にふさわしい吉祥画や可愛らしいお雛様・煌びやかな雛道具などまだまだ沢山の展示物がございます。

棟方志功作品は他にも初公開の版画「飛天の柵」などの版画もございます。

 

雪深い季節ですが、弘前市立博物館で一足早い春を感じてはいかがでしょうか?

 

(おにぎり)

 

 

令和3年12月10日(金)
遥かなる着物の世界へ

12月4日(土)に、博物館でギャラリートークを行いました。

現在開催中の企画展3「きもの~装いの美・美は喜び~」の担当である北上学芸員が、公家の普段着である狩衣を着て、展示物や着物の歴史について解説しました。

扇子を持って関西の方言で解説するその様子は、さながら平安貴族がタイムスリップして来たかのようでした。

当日はあいにくの雪模様でしたが、多くのお客様が参加くださいました。

皆さん北上学芸員の解説をじっくりと聞いて大変満足されたご様子でした。

 

(自前の狩衣姿で登場の北上学芸員)

 

(美術展示室での解説のようす)

 

(ホールでの解説のようす)

 

(特別展示室での解説のようす)

 

企画展3「きもの~装いの美・美は喜び~」後期展は12月19日(日)まで開催しています。

近頃は雪も積もりはじめて来ましたが、お休みの日には是非博物館へお出かけしてみてはいかがでしょうか?

 

(おにぎり)

 

 

令和3年11月24日(水)
津軽為信公見参!

11月19日(金)弘前市立博物館に津軽為信像が戻ってきました。

古川武治氏制作、制作年2003年。

高さ:3.6m 幅:1.1m 奥行:1.0m。

弘前文化センターにある銅像と同じ大きさです。

 

兜、上半身、下半身に分けて運ばれました。

 

 

 

身長190cmの館長と(※バリケード内には入れません)

 

写真では小さく見えますが、結構大きく迫力があります。

一緒に記念撮影はいかがでしょうか?

 

11月20日(土)からは企画展3「きもの~装いの美・美は喜び~」後期展を開催しています。江戸東京博物館さんより貴重な着物類をお借りして展示しますのでこちらも是非ご覧ください!

 

(おにぎり)

 

 

令和3年11月10日(水)
前期展終了間近!

弘前市立博物館では企画展3「きもの~装いの美・美は喜び~」を開催中です。

11月14日(日)までは、前期展として女子美術大学美術館さんより貴重な着物をお借りして展示しています。

弘前ではなかなか見ることのできない着物ばかりですので、ぜひ終了日までにご来館ください。

 

今回は、それら貴重な展示物をいくつかご紹介します。

御所車秋草模様小袖(江戸後期 摂津三田藩九鬼家伝来品 女子美術大学美術館蔵)

 

御所車のほか、紅葉や松を中心に秋の七草である萩や撫子が描かれ、金糸や色糸で刺繍されています。御所車と秋の草花の取り合わせから、紅葉狩りの風景を表したものと考えられます。

 

花車模様小袖(江戸後期 摂津三田藩九鬼家伝来品 女子美術大学美術館蔵)

 

梅・桜・杜若・藤・牡丹・菊・萩・桔梗など四季の草花を積んだやや大振りな花車が刺繍・染の技法を用いて表されています。

 

宝尽模様腰巻(江戸後期 因幡鳥取藩池田家伝来品 女子美術大学美術館蔵)

 

宝尽模様とは、吉祥模様の一つで中国の八宝思想に由来する富や福を象徴するめでたい品々を日本風に置き換えて模様化したものです。

 

写真では小さくて見づらいですが、とても鮮やかで精細な模様の着物ばかりです。ぜひ実際にその目で見て当時の技術の素晴らしさを実感してみてください。

 

11月20日(土)からの後期展では、江戸東京博物館さんより貴重な着物類をお借りして展示しますのでお楽しみに!

 

 

令和3年11月04日(木)
芸術の秋、博物館で音楽を

令和3年10月9日(土)に、弘前市立博物館で音楽演奏イベント「ミュージアムLive」を開催しました。

演奏者は、弘前交響楽団団員の菊地謙太郎さん(チェロ)と、鈴木愛理さん(コントラバス)による「デュオ・エフ・クレフ」です。

1回公演の予定でしたが、好評ですぐに定員に達したため、追加でもう1回公演していただきました。

チェロとコントラバスの温かな低音は、普段は静かな博物館に素敵な午後のひと時を届けてくれました。

演奏中の様子です。

 

チェロを弾く菊地さん

※演奏のため一部マスクを外しています。

 

コントラバスを弾く鈴木さん

 

小さいお子さんも楽しんでいました。

 

今回の演奏の様子は一部動画で公開しています。

こちらのページよりご覧ください。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年10月22日(金)
秋の散策はいかが?

弘前市立博物館は、弘前公園内に位置し、周りを自然に囲まれた静かな博物館です。博物館前庭では、様々な野鳥や、季節に合わせた草花を観察できます。

今回は、7月~8月に博物館周辺で見られた野鳥をご紹介します。

 

博物館前庭のカエデの木に止まるコゲラです。

コゲラは体長15cmほどの日本で一番小さいキツツキです。

 

博物館近くの堀で子育てをするバンです。

バンは、クイナの仲間で、先端が黄色の赤いクチバシが特徴です。

水田でよく見かける様子が、水田の番人に見えることからバンという名前が付いたそうです。

 

同じく博物館近くの堀で子育てをするカイツブリです。

カイツブリは主に水上で生活する鳥で、子育て中は複数の雛鳥を背中に乗せて泳ぐ姿をよく見かけます。

 

博物館近くの堀で休むカワセミです。

カワセミは体長17cmほどの鳥で、その美しく青い体から「飛ぶ宝石」と呼ばれています。漢字も翡翠(ヒスイ)と書きます。

 

今回ご紹介した野鳥はほんの一部で、弘前公園内では沢山の野鳥が見られます。

博物館へいらした際は、ぜひ周辺を散策してみてください。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年10月20日(水)
彩の秋、色とりどりの着物

令和3年10月2日より、企画展3「きもの~装いの美・美は喜び~」を開催中です。

本展では、会期を前・後期に分け、前期を女子美術大学美術館さんより、後期を江戸東京博物館さんより貴重な着物をお借りして展示します。

 

今回は、現在展示している展示物をいくつかご紹介します。

牡丹流水模様振袖(江戸時代、女子美術大学美術館蔵)

 

色彩豊かな牡丹が色糸による刺繍や型鹿の子によって表されています。

牡丹は百花の王とされ、富貴の象徴でもあります。丸に十字の五つ紋が染め抜かれていることから、島津家ゆかりのものと考えられます。

 

水辺風景模様小袖(江戸後期、摂津三田藩九鬼家伝来、女子美術大学美術館蔵)

 

漁で使用する投網を三角円錐の形に干した網干の見える水辺の風景が刺繍で表されています。風景とは無関係に菊などの草花模様が散りばめられています。腰の部分には東屋風の建物と弦楽器の琵琶が描かれています。

 

単(昭和前期頃 個人蔵 左)、緋袍(昭和前期頃 個人蔵 右)

 

単(ひとえ)は、平安装束で着用する裏地のない着物を指します。衣冠束帯・狩衣の下に着用されます。

袍は、平安時代以降の天皇以下公家や武家の正装である衣冠束帯の上衣の一つです。位袍とも呼ばれ、位階により着装できる袍の色が厳密に決められていました。

 

西こぎん着物「余所行き」(昭和前期 館蔵)

 

西こぎんは、肩の部分に紺糸と白糸で細かい横しまを出したものが多く、「しまこぎん」とも言われます。模様が細かく複雑なものが多いのが特徴です。弘前城から見て西の、弘前市から旧岩城町周辺で作られたため「西こぎん」と呼ばれました。

 

今回紹介したもの以外にも貴重な着物をたくさん展示しております。

前期の展示は11月14日(日)までですので、お早めにご覧ください。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年8月27日(金)
2人のヤーヤドン

令和3年8月22日(日)に特別イベントとして、弘前市非公認ローカルヒーロー「お祭大将ヤーヤドン」が遊びに来てくれました。

 

また、ホールではヤーヤドンクイズが行われ、クイズの参加賞として、ヤーヤドン折紙が、全問正解賞としてヤーヤドンシールが貰えました。

(ヤーヤドン折紙)

(ヤーヤドンシール)

 

午後には「為信の姿」で登場しました。

館内では、二つのコスチュームのヤーヤドンで人気投票を行っており、集計の結果、「為信の姿」のヤーヤドンが勝利しました。

(投票シールを確認するヤーヤドン)

(人気投票結果発表に喜ぶヤーヤドン)

当日はあいにくの天気模様でしたが、来館されたお客様は皆さん喜んでイベントに参加されていました。ヤーヤドンも写真撮影に引っ張りだこでした。

今後も楽しいイベントを企画いたしますので、ぜひ博物館へいらしてください。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年8月22日(日)
迫力の錦絵を間近で!

現在、弘前市立博物館では、企画展2「弘前ねぷた展」を開催中です。

今回は、展示中の作品をいくつかご紹介します。

(鏡絵 朱鍾馗の図 聖龍院龍仙 2019 弘前大学附属図書館蔵)

鍾馗は魔除けの神様です。朱色も魔除けの意味があるため、朱色で描かれた鍾馗を魔除けとして用いることが多いです。

 

(鏡絵 鍾馗と鬼 三浦吞龍 2007 館蔵)

左上の男性は、中国の唐時代6代皇帝の玄宗で、左下の女性は、その寵愛を受けた楊貴妃です。楊貴妃に憑いた悪鬼を鍾馗が祓う場面です。

 

(鏡絵 趙雲奮戦の図 阿部義夫 1989 館蔵)

中国の三国志より、蜀の武将趙雲が主君である劉備の甘夫人と子を単騎で救い出す場面です。

 

(見送り絵 関興 竹森節堂 1959 館蔵)

関興は、三国志の蜀の武将・関羽の次男です。ねぷたの見送り絵は美人画が多いため、男性を描くのは珍しいです。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年8月10日(火)
いのっちの友達?

現在、弘前市立博物館では、青森県立郷土館よりお借りした「クマ形土製品」を展示しております。当館のマスコットキャラクター、猪形土製品と並んでの展示です。

猪形土製品はクマ形土製品とともに、九州国立博物館で開催される特別展「海幸山幸 - 祈りと恵みの風景 - 」で展示されるため、弘前市立博物館では9月13日までの展示となります。二体揃っての展示は9月13日までですので、シャッターチャンスは今です!

※猪形土製品は九州国立博物館での展示終了後、弘前市立博物館で展示いたします。

(歴史展示室入口にて展示しております)

 

(展示前のツーショット)

 

(後ろから)

 

(世界文化遺産登録を記念したパネル)

 

(おにぎり)

 

 

 

令和3年7月27日(火)
市民会館でねぷた!

弘前市民会館では、弘前市立博物館の「弘前ねぷた展」とのコラボとして、ねぷた絵師の「川村麗巴」さんが作成したねぷた絵を、市民会館入口通路に展示しております。

駐車場側から市民会館入口へ入ると右手に大きいねぷた絵が出迎えてくれます。

ねぷた囃子も流れていますので、ねぷたまつりの雰囲気を味わえます。

市民会館でねぷた絵をご覧になった後は、ぜひ弘前市立博物館の「弘前ねぷた展」もご覧ください。

 

(三国志 趙雲幼主を救う 川村麗巴)

 

(ねぷた絵制作時の川村麗巴さん)

 

(完成時)

 

今回の作成過程の動画を公開されています。

弘前市民会館のページをご覧ください。

 

(おにぎり)

 

 

 

令和3年7月25日(日)
博物館で、ねぷたまつり開幕!

現在、弘前市立博物館で「弘前ねぷた展」を開催しています。

今年の「弘前ねぷたまつり」は新型コロナウイルスの感染予防と拡大防止の観点から、残念ながら昨年に続き中止となりましたが、博物館では、弘前ねぷたの歴史を振り返るとともに、疫病(新型コロナウイルス)退散の意味を込めた鍾馗(しょうき)のねぷた絵の展示や、昨年のねぷたまつりのために描かれた弘前大学のねぷた絵を展示します。

(博物館入口)

 

(ロビー)

 

(美術展示室)

 

(特別展示室)

 

展示物はまだまだ沢山ございます。

個別の展示物については、後日ご紹介します。

 

博物館は涼しいですが、熱気あふれる弘前ねぷたをお楽しみください。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年7月13日(火)
博物館で夜遊び?

令和3年6月26日(土)に、弘前市立博物館ホールで、特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」関連イベントとして、弘前乃怪(ひろさきのかい)による怪談語り「妖(あやかし)を観る・妖(あやかし)を語る」を開催しました。

弘前乃怪は、弘前市の怪談好きが集まり、県内外で怪談ライブ等を開催する団体です。

 

今回は弘前市内での怪談を中心に90分語っていただきました。

(月岡芳年の浮世絵の垂れ幕をバックに)

 

(怪談を披露する弘前乃怪の皆さん)

 

(横にはねぷた絵師「川村麗巴」さんのねぷた絵)

 

通常博物館は午後16時30分に閉館しますが、この日は午後19時30分まで延長して開館しました。

普段は入れない夜の博物館での怪談は、雰囲気もあり、少し怖かったです。

 

 

特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」は7月4日をもって大盛況のうちに閉幕いたしました。

次回は、7月16日より「弘前ねぷた展」を開催いたします。お楽しみに!

 

(おにぎり)

 

 

令和3年6月30日(水)
「月」とかけまして

弘前市立博物館では、現在、特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」を開催しています。

 

展示作品の中からいくつかご紹介します。

今回は、「月百姿」シリーズです。このシリーズは、芳年の晩年の作品で、明治18年から8年の歳月をかけて「月」をテーマに作成されました。

その内容は、和漢の物語、謡曲、漢詩など多岐にわたっており、画風も多彩です。

 

(月百姿 忍岡月 玉渕斎)

 

夜風が吹く様子を桜の花びらや着物、玉渕斎の仕草で表現していますね。

 

 

(つきの百姿 月宮迎 竹とり)

 

昔話で有名な「竹取物語」が題材です。かぐや姫を見送る翁の哀愁漂う背中が印象的です。

 

 

(つきの百姿 雪後の暁月 小林平八郎)

 

忠臣蔵で有名な吉良家家臣の小林平八郎です。

力強く折り曲げた左手に鬼気迫る様子が表れています。

 

 

(月百姿 玉兎 孫悟空)

 

「西遊記」の主人公、孫悟空です。

満月を背に、人に化けていた玉兎との対決の場面です。よく見ると、孫悟空の持つ如意棒の先端が絵の枠を出ています。

 

「月百姿」シリーズは、他にも展示していますので、ぜひご来館してその多彩な題材・構図を楽しんでください。

 

※展示作品は全て西井コレクションです。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年6月25日(金)
こんな顔してませんか?

弘前市立博物館では、現在、特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」を開催しています。

 

展示作品の中からいくつかご紹介します。

今回は、「風俗三十二相」シリーズです。このシリーズは、「いたそう」「見たそう」など女性の表情や願望を示す言葉を個々の図の題名とし、寛政時代から明治時代までの様々な身分の女性達の仕草を三十二通り描いたものです。各時代や女性の立場に応じた装いと、題名に合わせた表情が見どころです。

 

(風俗三十二相 うるささう 寛政年間 処女之風俗)

 

女性にしつこくかまわれて、「猫」が「うるさそう」な表情をしています。

 

 

 

(風俗三十二相 みたさう 天保年間 御小性之風俗)

 

障子の隙間から奥を「見たそう」に覗いています。

 

 

 

(風俗三十二相 けむさう 享和年間 内室之風俗)

 

いかにも「煙たそう」な表情です。

 

他にも展示していますので、ぜひご来館してどんな表情か確かめてみてください。

 

※展示作品は全て西井コレクションです。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年6月15日(火)
期間限定販売中!

現在開催中の特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」では、ミュージアムショップを併設しております。今回は、ミュージアムショップにて販売している商品をいくつかご紹介します。

【図録】 本展での展示作品は全て収録

 

【ポストカード】 大・中(写真は大)

 

【付箋】

 

【手ぬぐい、三つ折ファイル、朱印帳】 歌川国芳の猫

 

他にも、額絵、トートバッグ、クリアーファイル、チケットファイル、マグネット、ブックマーカー、マルチクロス、書籍など様々な商品がございます。

展示作品を鑑賞された後は、ぜひミュージアムショップを覗いてみてください。

(ミュージアムショップは特別企画展観覧者の方がご利用できます。ミュージアムショップのみの利用はできませんのでご注意ください。)

 

(おにぎり)

 

 

令和3年6月15日(火)
月岡芳年って?

弘前市立博物館では、現在、特別企画展「YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~」を開催しています。

 

皆さん月岡芳年(つきおかよしとし)をご存知でしょうか?

怖い血みどろ絵を描く人?勇壮な武者絵を描く人?

そんなイメージを抱く方も多いと思います。

(藤原保昌月下弄笛図)

 

月岡芳年は、「武者絵」で有名な歌川国芳の弟子で、幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師です。「最後の浮世絵師」と評されるその作品は、師・国芳譲りの「武者絵」に始まり、血みどろの「無惨絵」、「美人画」、「風俗画」、「歴史絵」など多岐にわたります。

赤い染料を多用した鮮やかな色遣い、遠近法を用いたダイナミックな構図などは、現在の漫画にも通ずるものがあります。

(芳年武者旡類 源牛若丸 熊坂長範)

 

「美人画」では、一人ひとり異なる艶やかな着物が紋様一つひとつまで精細に描かれています。

(美人七陽華 正五位柳原愛子)

 

その技巧は、見るだけで楽しめる作品が多いですので、「浮世絵は難しそう」と敬遠される方にもオススメです。興味を持たれた方は、ぜひご来館ください。

※展示作品は全て西井コレクションです。

 

(おにぎり)

 

 

令和3年6月4日(金)
YOSHITOSHI beginning!

去る、5月29日に『YOSHITOSHI~鬼才の浮世絵師・月岡芳年~』が開幕しました。

入館すると、まずお出迎えするのは、川村麗巴(かわむら れいは)さんの巨大なねぷた絵!

 

身長190センチの館長が手を伸ばしても届かない巨大さです。

全国広しといえども、月岡芳年展の中で川村麗巴さんの作品を見られるのは当館だけ。

しかも、コレクション所蔵者のご厚意により、一部を除き写真撮影OKとなりました。

7月4日、日曜日までの開催となりますので、ぜひご来館ください。

 

(はれやか)

 

 

令和3年5月5日(水・祝)
比較スケールを置いてみました

現在、弘前市立博物館では、企画展『絵図・地図・写真! 移りゆく弘前城展』

を開催中です。普段なかなか実物を見ることのない絵図が、ケースいっぱいに展示されています。

【弘前惣御絵図】

例えば、当館所蔵の【弘前惣御絵図(ひろさきそうおんえず)】は、築城から約90年後の弘前城の姿を見ることができます。

しかし、写真だけでは大きさが伝わらないので、比較対象のためのスケールを置いてみました。

【館長:1.9メートル】

身長1.9メートルの当館の館長です。これで絵図の大きさが伝わったと思います。

なお、当館職員はシフト制勤務のため、常時館内に存在しておりません。どうしても実物の絵図と実物の館長を比較したい場合は、事前の確認をお勧めします。

5月16日(日)までの開催となっておりますので、みなさまのご来館をお待ちしています。

 

(はれやか)

 

 

令和2年度(2020年度)

 

令和3年3月25日(木)
4月2日まで展示替えです

令和2年度も残り1週間となりました。

最後の展覧会「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、3月21日をもって閉幕し、今年度の展覧会がすべて終了しました。新型コロナウイルス感染症の影響で、入館者数は昨年度より減少しましたが、ご来館いただきました皆様には感謝申し上げます。

 

さて、現在当館では、令和3年度の企画展1開催に向けて、展示替え作業が進んでいます。

作業は、人形展で展示した約500点に及ぶ資料の整理・梱包と搬出・保管で、その後、展示ケースを移動したうえで次回の展覧会で使用する資料を展示します。今回は、市立図書館から大型の絵図を借用、展示しますので、特に注意して取り扱う必要があります。安全を確保し、慎重のうえにも慎重に作業を進めることとなります。

 

 展示替え作業の様子

 

次回の展覧会「絵図・地図・写真!移りゆく弘前城展」では、約370年前の江戸時代の絵図から明治、大正の地図や古写真、そして史跡指定当時の弘前城の様子と現在の比較写真、さらに昭和50年代以降の史跡整備の様子も紹介します。

 

 江戸時代の絵図を展示

 

史跡指定から70年が経過しようとしている弘前城跡は、明治には三の丸に第八師団兵器支廠が設置され、終戦後は弘前大学教育学部や職業安定所などの国の施設、さらには市営野球場や相撲場、そして図書館や市民会館、博物館が設置され、その景観は大きく変化していきます。

また、昭和50年代以降は史跡整備の進展により、史跡外へ多くの施設が移転され、三の丸庭園や植物園などが整備されて今日の姿となります。

 

普段あまり見ることのできない絵図、地図、写真で弘前城の移ろいを感じてみてはいかがでしょうか。

本展は、4月3日(土)から開幕しますので、今しばらくお待ちください。

 

(くろう)

 

 

令和3年3月14日(日)
3月14日とかけて!

突然ですが、「3月14日」とかけて、「厳冬期の地吹雪」とときます。その心は「どちらもホワイト一色になります」。

今日のホワイトデーにかけてみました。

 

現在開催中の「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

この中の次郎左衛門雛のお顔は、やや汚れがあるもののよく磨かれていて艶があり、研ぎ澄まされた白い顔立ちで、ホワイトなのです。また隣に置かれた古今雛も艶はないものの同様に色白です。他の江戸時代からの雛人形である寛永雛、享保雛は淡いクリーム色に対して、次郎左衛門雛は白いお顔をしています。

因みに次郎左衛門雛は、江戸中期に京都の御用人形司・御雛屋次郎左衛門が創作したとされ、その特徴は丸顔で引目鈎鼻風の表情で、特に白い顔立ちが特徴というわけではないようです。当館で展示している次郎左衛門雛は江戸後期頃とされ、他の雛人形と異なる表情を見比べるのも楽しそうです。

まだ、ご覧になっていない方、お待ちしています。

 

 

次郎左衛門雛             同 女雛

 

 

享保雛                同 女雛

 

また、男子の健やかな成長を祝う五月人形も展示していますので、この機会にぜひご覧ください。

 

五月人形

 

(くろう)

 

 

令和3年3月3日(水)
3月3日とかけて!

突然ですが、「3月3日」とかけて、「テレビで話題の俳句」と解きます。その心は「じょし(女子・助詞)が大事です」。

 

今日は、桃の節句、女の子の健やかな成長を祝うお雛祭りの日です。

博物館では、「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」を開催中で、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

その中に、江戸時代から明治にかけての雛人形である寛永雛、享保雛、古今雛、次郎左衛門雛など古くから大切に保存されてきた古典雛が展示されています。

 

 

現代の雛人形と比べても、その大きさとともに装飾の違いに驚かされます。

本展は、3月21日(日)まで開催していますので、まだお越しでない方はぜひご観覧ください。

 

(くろう)

 

 

令和3年2月21日(日)

Bigな鳩笛拝見!

開催中の「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」では、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

その中に、下川原焼の鳩笛が2点あります。

ただの鳩笛ではありません。

非常にBigなのです。その大きさは、凡そ大型が長さ45㎝、幅が20㎝、高さが35㎝で、中型は長さが35㎝、幅が15㎝、高さが30㎝もあります。

一般によく見る鳩笛とは、段違いの大きさで、観覧される方もその大きさに驚いていかれます。

因みに鳩笛は、『津軽の民芸』(1985弘前市立博物館)によると、元山すてが大小の鳩笛を専門に作り、下川原焼の鳩笛の印象を強く焼き付けたとされています。

展示している2点は、大正から昭和のもので、時代を感じさせてくれます。

現在も作り継がれる下川原焼土人形、その素朴な造形美が多くの人に慕われ、これからも津軽の風土とともに生き続けていくことでしょう。

この機会にBigな鳩笛をご鑑賞ください。

 

 

 

 

 

(くろう)

 

 

令和3年2月12日(金)

「弘前城雪燈籠まつり」の前に!

2月10日、弘前城雪燈籠まつりが開幕しました。

当館の片山カメラマンが先日、その模様を写真に収めてきましたので紹介します。

 

 

雪と光のコラボレーション       スカイランタン

 

大雪像                津軽錦絵大回廊

 

よく見ると本家本元の燈籠が写っていません。なんてことだ!

祭りは、2月14日まで開催していますので燈籠は本物を体感してください。

 

なお、博物館では「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」を開催しています。

本展では、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。幻想的な雪燈籠を見る前に、ぜひ博物館にもお立ち寄りください。

 

 お雛様の下川原焼土人形

 

閉館は、午後4時30分となりますので、余裕をもってお越しください。

お待ちしています。

 

(くろう)

 

 

令和3年2月4日(木)

這子とは!

現在開催している企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

このなかに、タイトルの「這子」があります。

何と読んだらいいかわかりますか。「ほうこ」と読みます。

這子とは、幼児が這い這いする姿に由来するといわれています。乳幼児を守る人形とされましたが、後に婚礼調度に加えられ、雛祭りにも飾られるようになりました。

当館で展示している這子は、江戸時代後期から明治頃のもので、非常に貴重です。這い這いさせて遊んだのか飾ったのか両手足の一部が欠けていることがわかります。

乳幼児を守る人形。

現在でいえば、コロナから守ってほしいと願うばかりです。

この機会に、見学してみてはいかがでしょう。

 

 左:御所人形、右:這子

 

 

這子正面           側面

 

(くろう)

 

 

令和3年1月23日(土)

押絵とは!

現在開催している企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

このなかに、タイトルの押絵(おしえ)があります。

押絵とは、江戸時代に大奥女中の間で流行した手芸で、「御細工物」と呼ばれ、明治頃まで盛んにおこなわれていた布細工です。厚紙を土台にして綿を入れて厚みを出し、布を重ねて立体的な絵柄に仕上げます。

本展では、明治から昭和にかけての男雛と女雛のほか五人囃子や七福神の恵比寿様のような姿の押絵などが展示され、一風変わった雛段となっています。

表情も繊細な筆遣いで仕上げていて、男雛や女雛の優しく見つめるものや、わずか10㎝に松竹梅と鶴を描くなど非常にめでたい扇子もあり、一見の価値ありです。

 

首都圏や大阪などでの緊急事態宣言の一刻も早い収束を願いつつ、来館者はまばらで、密になることはありませんので、この機会にゆっくり観覧してみてはいかがでしょう。

 

雛段の様子

 

 

男雛と女雛の優しい表情

 

 

松竹梅と鶴が描かれた扇子       七福神の恵比寿様のような姿の押絵

 

(くろう)

 

 

令和3年1月15日(金)

蠟色笹唐草御紋付雛道具とは!

何と読んだらいいのでしょう。

その前に、現在開催している企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示・紹介しています。

このなかに、タイトルの雛道具が展示されているのです。

読み方は、「ろいろささからくさごもんつきひなどうぐ」といいます。

「ろいろ」とは漆塗りの技法のひとつで、つやのある黒漆塗りをいい、蒔絵で笹唐草と津軽家の家紋を描いた雛道具となります。

この雛道具は、最後の弘前藩主津軽承昭伯爵が明治後期に整えられたもので、明治とはいえ江戸時代の大名家の華やかな生活を彷彿とさせるものであり、非常に貴重です。

平成6年に旧弘前藩主家である津軽家から当館にご寄贈いただいた資料で、その際、国元の皆さんに楽しんでもらいたい、という津軽家のご意向を賜り、当館では、雛祭の展示品として紹介しています。

 

本展では、その中から文台、三棚、櫛台、長持、箪笥、簾屏風など長さ約8mにわたって展示しています。

箪笥は、把手など金物の細部まで手の込んだ作りで、大きさは横約30㎝、高さ約20㎝あります。また、櫛台の小物もこのサイズでここまで作れるのかと思うほどです。打掛は刺繍が施されており、着丈は約30㎝で、非常にきめ細やかに作られ、魅了すること間違いありません。

この機会に是非ご覧ください。

 

約8mに及ぶ展示の様子

 

  

文台、三棚などが並ぶ         箪笥

 

 

櫛台                 打掛

 

(くろう)

 

 

令和3年1月4日(月)
謹賀新年。 寛永、享保、古今、次郎左衛門といえば!

新年あけましておめでとうございます。

丑年の2021年も当館をご愛顧いただきますよう、多くの皆様のご来館をお待ちしております。

 

さて、現在開催中の企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形を紹介しています。

 

展示している雛人形は、江戸時代から明治にかけての寛永雛、享保雛、古今雛、次郎左衛門雛など古くから大切に保存されてきた古典雛人形です。

 江戸時代から明治の雛人形が並ぶ

 

寛永雛は、最も古い内裏雛の一つで、立雛から座雛への過渡的な雛人形とされ、また、石場旅館様より借用の幅80cmもある大型の享保雛や、目にガラスをはめ込んだ古今雛、団子のような丸頭の引目鈎鼻風の面相が特徴の次郎左衛門雛などが並びます。

それぞれ特徴があり、江戸時代から伝わる雛人形の形態を今に伝えてくれます。

この機会に、是非ご観覧ください。

 

寛永雛                享保雛

 

 

古今雛                次郎左衛門雛

 

新型コロナウイルス感染症が懸念されますが、当館では検温、手指消毒、連絡先記載、触れるものを減らすなど感染予防に努めています。マスク着用のうえご来館ください。

 

(くろう)

 

 

 

令和2年12月21日(月)

下川原、中山、八橋、堤、博多といえば!

開催中の企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」では、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形を紹介しています。

 

展示している土人形は、弘前市の下川原、横手市の中山、秋田市の八橋、仙台市の堤、滋賀県の小幡、福岡県の博多などの人形です。

下川原土人形は、文化7年(1810)9代藩主津軽寧親が筑前の陶工高原五郎七を招聘し、高谷金蔵らとともに陶器の製作にあたらせ、その際、冬期の閑暇を利用して子どもの玩具を作ったことに始まるといいます。

本展では、各地の大正から昭和にかけての男雛、女雛などの土人形を展示しています。

愛くるしく、可愛らしいですよ~!

 

○下川原などの土人形展示の様子

 

 

 

(くろう)

 

 

令和2年12月1日(火)

温湯、大鰐、土湯、作並、鳴子といえば!

開催中の企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」では、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形など約500点を展示し、紹介しています。

このなかで玩具、土産物として作られたこけしは、明治以降、東北地方の温泉街で盛んに作られ、10系統に区分されます。津軽系、土湯系、遠刈田系、山形作並系、木地山系、弥次郎系、鳴子系、南部系、蔵王系、肘折系です。

本展では、津軽系温湯の斎藤幸兵衛や大鰐の村井福太郎、土湯系では土湯の阿部金蔵や飯坂の渡辺角治、遠刈田系では秋保の菅原庄七、山形作並系では作並の平賀謙蔵、木地山系では川連の佐藤利吉、弥次郎系では弥次郎の新山栄五郎、鳴子系では鳴子の高橋盛、南部系では花巻の藤原政五郎、蔵王系では堀田高湯の我妻勝之助、肘折系では奥山喜代治などの工人の作品約120点を展示しています。

それぞれ特徴があり、津軽系はオカッパ頭が多く、胴に津軽家の家紋やダルマ絵、アイヌ模様が描かれたり、鳴子系は胴は太く肩と裾が広がり、胴体には菊を中心とした華やかな模様が描かれたり、遠刈田系は頭が大きく、細い直胴のものが多く、赤い放射状の飾りが描かれるとともに、切れ長の細い目が印象的です。また、大きさも約60cmから5cm程度のものまであり、とても楽しめます。

このコレクションは、故木村弦三氏(1905~1978)が長年収集し、当館に寄贈されたもので、非常に貴重な資料といえます。

 

 こけし展示コーナー

 

津軽系こけし             鳴子系こけし

 

津軽系こけし             南部系こけし

 

因みに、私が子どもの頃は、町を歩くと工房でのこけし作りをよく見たものです。削り出される様子が面白く、興味深く見入ったことを思い出します。現在はなかなか見ることができず、少し寂しさを感じるのは私だけでしょうか。

 

こけし好きの方、こけしに興味のある方、これからこけしを学びたい方、必見です。

 

(くろう)

 

 

令和2年11月21日(土)

企画展3「みちのく人形展」開幕!

本日、企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」が開幕しました。

本展では、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形などを紹介します。特に、雛人形は、津軽家ゆかりの雛道具をはじめ、寛永雛・享保雛・古今雛・次郎左衛門雛など江戸時代の貴重な古典雛人形を展示しているもので、愛らしく穏やかに微笑むお雛さまを眺めながら春の訪れを待つ、展覧会となっています。

津軽家の雛道具は、弘前藩12代藩主津軽承昭が明治時代に作らせたもので、小さいながらも精巧で、手の込んだ調度品であることが分かります。

他にも、温泉街の土産物として作られた東北各地のこけしや土人形が所狭しと並んでいます。

総点数約500点からなる「みちのく人形展」を是非ご覧ください。

なお、入館にはマスクの着用が必要となります。

 

 ホールの展示風景

 美術工芸展示室の展示風景

 特別展示室の展示風景

 

(くろう)

 

 

令和2年11月14日(土)

次回の「みちのく人形展」準備中

今年度最後の展覧会である企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」は、11月21日(土)に開幕します。

本展は、雛人形を中心に五月人形・こけし・土人形を紹介する展覧会となります。

現在、館内では本展開催に向けて準備作業が進んでいます。雛人形や雛道具類は、非常に細やかで精巧に作られており、展示も一苦労で、私のように指が太いと、なかなか触ることができません。このような細やかな作業は女性職員が主にあたっています。

作業は、担当する北上学芸員の指示を受けて、一点一点慎重な作業が続いていますので、開幕まで今しばらくお待ちください。

沢山の作品が展示されますので、お楽しみに。

 

 

 

               展示作業の様子

 

(くろう)

 

 

令和2年11月9日(月)

来館いただいた皆様に感謝しつつ「フランス絵画展」閉幕!

9月26日(土)に開幕した特別企画展「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」は、昨日11月8日(日)までの44日間の会期を終えて閉幕しました。ご来館いただきました多くの皆様に感謝申し上げます。

本展は、ピカソ、ルオー、シャガール、キスリングといった名だたる画家たちの作品から戦後の作品まで、20世紀のフランス絵画を紹介するもので、山形美術館の服部コレクションの中から51点を展示したものです。

 

                展示の様子

 

会期中は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響もありましたが、市民や児童生徒、観光客等が、弘前公園の紅葉と合わせて来館いただき、10月31日(土)には入館者5,000人を迎えることができました。その後も、好天の日は200人を超える入館があり、密にならない程度で皆さん思い思いに名画を鑑賞していました。

 

            児童生徒の観覧の様子(感染拡大前)

 

そのような中、弘前公園の紅葉はサクラの葉は散ってきましたが、モミジは鮮やかな朱や赤色をまとっていて、まだまだ見ごろが続いています。下の写真はどこでしょうか。

健康維持と合わせて公園を散策し、探してみましょう。

 

            弘前公園(弘前城跡)の紅葉の様子

 

なお、博物館では11月9日(月)から展示替えのため臨時休館に入りました。

次回は、11月21日(土)から企画展3「みちのく人形展~五彩に輝くこけし・雛人形・土人形~」が開幕しますのでお楽しみに。

 

(くろう)

 

 

令和2年11月1日(日)
「フランス絵画展」入館5,000人達成

9月26日(土)に開幕した特別企画展「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」も残りあとわずか。昨日10月31日(土)には入館者5,000人を達成しました。(パチパチ)

本展は、東奥日報社、弘前市文化団体協議会、弘前観光コンベンション協会、アップルウェーブと弘前市で組織するフランス絵画展実行委員会並びに当館が主催して開催するもので、ピカソ、シャガール、ルオー、キスリングといった名だたる画家たちの作品から、戦後の作品まで20世紀のフランス絵画51点を展示しています。

 

5,000人目となったお客様は、市内在住の斎藤さん。

当館の高橋主幹から記念の図録が贈呈され、大変喜んでおられました。

 

記念図録を受け取る斎藤さん(左)

 

新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されますが、当館では体調不良の方の入館制限とともにマスク着用、検温、消毒、最大100名の入館制限などの対策を講じていますので、是非、ご来館ください。

また、弘前公園の紅葉も見頃です。

本展とともに芸術の秋を感じてみてはいかがでしょう。

 

弘前公園の紅葉風景(博物館事務室より撮影)

 

(くろう)

 

 

令和2年10月30日(金)

フランス絵画とともに楽しめる物販コーナー

特別企画展「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」も残り1週間となりました。本展では、作品鑑賞とともに、フランス絵画などに関連する商品も館内で購入できます。

20世紀フランス絵画展図録、ポストカード、クリアファイル、マグネット、3Dノート、アートハンカチ、トートバックなどが、弘前市立博物館後援会により販売されています。

私の一押しは、モナ・リザの「首振り人形」です。

是非、作品鑑賞と合わせて物販コーナーもお楽しみください。

 

 

図録                 ポストカード、クリアファイル

 

 

3Dノート、マグネット        バック類

 

 

作家関連図書             首振り人形

 

(くろう)

 

 

令和2年10月18日(日)

フランス絵画展~プロローグと4つのテーマ~

開催中の特別企画展「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」は、プロローグと4つのテーマで構成されています。

「19世紀後半にフランスで生まれた印象派は、・・・」の紹介文ではじまる【プロローグ】では、ルオーの『告発されたピエロ』、ピカソの『剣を持つ男』、シャガールの『花束を持つ少女』の3作品が並び迎えてくれます。

次に1つ目のテーマは、「17世紀に独立した画題として確立された静物画は、・・・」ではじまる【静物と室内風景】で、ブリアンションの『静物』、ロルジュの『スイカのある静物』などの作品が並びます。

 

プロローグ               テーマ1「静物と室内風景」

 

「1920年代から暗い色調と素早い筆致で風景画を描いたヴラマンク、そしてエコール・ド・パリを代表するユトリロが・・・」ではじまる2つ目のテーマ【さまざまな風景】では、ヴラマンクの『雪の道と家』、ユトリロの『アトリエ座』などの作品。

 

テーマ2「さまざまな風景」      同左

 

「1920年代に、価値の破壊と否定を唱えるダダイスム・・・」ではじまる3つ目のテーマ【夢、現実を超えて】では、シャガールの『花嫁の回想』、クトーの『7月の海辺』などの作品。

最後の「肖像画は古代エジプトや古代ローマ帝国時代から制作されましたが、独立したジャンルとして成立するのはルネサンスが誕生する・・・」ではじまる4つ目のテーマ【肖像と人間】では、ローランサンの『犬を抱く少女』、キスリングの『ジョゼット』などの作品が並びます。総数51点です。

いずれのテーマも見応え十分で、多くのお客様にご来館いただいています。

まだご来館していない方は、コロナ感染対策のためマスク着用のうえお越しください。

 

テーマ3「夢、現実を超えて」     テーマ4「肖像と人間」

 

(くろう)

 

 

令和2年10月15日(木)
芸術と美術に触れる学校観覧プログラム

10月14日、弘前市立三省学校5年生12名と教職員が、弘前れんが倉庫美術館と博物館を観覧する「芸術と美術に触れる学校観覧プログラム」に参加しました。

このプログラムは、今年オープンした美術館の現代美術・芸術と現在博物館で開催中の「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」を観覧するとともに、変わりゆく弘前のまち歩きを組み合わせたもので、市内小中学生を対象に美術館と博物館が連携して開催するものです。

この日、三省小学校の児童は9時に美術館に到着し、約40分かけて現在開催中の「小沢剛展オールリターン」を観覧。絵画などの作品に加えて音と、映像が醸し出す芸術を感じ取っていました。

(正直、児童には難しい内容と思っていた自分自身がいましたが大きな間違いでした)

「小沢剛展」観覧の様子

 

その後、美術館から博物館までまち歩きです。

コースは、土淵川沿いを北に進み、弘南鉄道大鰐線中央弘前駅を横目に蓬莱広場へ出て、土手町を西へ進みます。途中、一番町の「川越のおやき」を購入し、市内最古のコンクリート造である旧弘前無尽社屋(三上ビル:国登録有形文化財)・中央広場・堀江佐吉が手掛けた旧第五十九銀行本店本館(国重要文化財)を横切って弘前城跡外堀(国史跡)に出ます。ここから、近代建築の巨匠・前川國男が設計した弘前市役所本館、市民会館を経て博物館までの約1時間の道のりです。児童は、普段、車でしか通行しない街並みをゆっくり歩いて散策していました。

まち歩きの様子(中央弘前駅と土淵川)

 

博物館には10時45分に到着。学芸員の解説で原始から近現代の歴史を学び、その後、ピカソやルオー、シャガールといった世界を代表する画家の作品が並ぶ特別企画展「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」を観覧していました。

満足げな表情の児童を見て、プログラムは大成功。

なお、博物館の特別企画展は11月8日まで休館日なしで開催していますので、皆さんも一流の作品に触れてみてください。お待ちしています。

 

「フランス絵画展」観覧の様子

 

(くろう)

 

 

令和2年10月8日(木)

津軽の庭・大石武学流庭園と西欧の庭園

10月2日、国の名勝・瑞楽園(市内宮舘)で「十五夜祭り」が開催され、夜間ライトアップが行われました。

瑞楽園は、旧家対馬家の庭で、明治23年から15年かけて大石武学流宗家の高橋亭山が築庭し、門弟の池田亭月が弟子の外崎亭陽と昭和3年から同11年にかけて増庭したもので、座敷から眺める座観式の枯山水庭園です。座敷からは飛び石と礼拝石があり、枯池、その奥の築山には枯滝石組が配置されています。

ライトアップは、庭園の中心にある「頭位松」をはじめ、野夜灯、春日燈籠などを照らし、昼とは趣が異なり、見事でした。

 

 大石武学流庭園・瑞楽園

 

津軽が生んだこの大石武学流庭園も良いのですが、現在博物館で開催されている特別企画展2「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」では、ピカソ、シャガール、ルオーといった名だたる画家たちの作品とともに、現代フランスの作家の作品も展示され、そのなかに西欧の庭園を描いたと思われる「公園風景」があります。

この作品はジャン・ピエール・カシニョールが1984に描いたもので、西欧の庭園によくみられる彫刻とともに赤や青、ピンク色の花が描かれ、とても綺麗です。

日本、津軽の庭と西欧の庭、大きく異なるものの、緑豊かな趣は安らぎを感じさせてくれます。

博物館の特別企画展では、「公園風景」を含めて51点のフランス絵画が展示されていますので是非ご覧ください。

物販コーナーも人気で~す。

 

 

右:「公園風景」ジャン・ピエール・カシニョール 1984年

 

 物販コーナーの「絵ハガキ」

 

(くろう)

 

 

令和2年9月26日(土)
特別企画展2「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」開幕です

お待たせいたしました。

20世紀を代表するフランス絵画が弘前に来ました。

本日、開会式が行われ、特別企画展2「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」開幕です。

本展は、東奥日報社、弘前市文化団体協議会、弘前観光コンベンション協会、アップルウェーブと弘前市で組織するフランス絵画展実行委員会並びに当館が主催して開催するものです。

ピカソ、シャガール、ルオー、キスリングといった名だたる画家たちの作品から、戦後の作品まで20世紀のフランス絵画51点が並びます。

開会式終了後は、展示作品を出陳いただいた山形美術館の岡部副館長兼学芸課長解説による内覧会も行われ、参加者はフランス絵画の奥深さを堪能していました。

会期は11月8日まで、休館日なしで開催しますので是非お越しください。

なお、新型コロナウイルス感染症対策として検温とともにマスクの着用や入館者多数の場合は入館制限などを行いますので、ご協力をお願いします。

 

開会式でのテープカットの様子

 

 

山形美術館岡部副館長兼学芸課長解説による内覧会の様子

 

(くろう)

 

 

令和2年9月23日(水)

展示替え真っただ中

9月26日(土)からは、特別企画展2「パリの見た夢 服部コレクション 20世紀フランス絵画展」が開幕します。

現在、展示替え真っただ中で、静まり返った展示室には、展示される絵画とともに、職員や展示業者さんが動き回って作業しています。

今年は、当初2回の特別企画展を計画しましたが、特別企画展1「歌川広重 二つの東海道五拾三次 保永堂版と丸清版」は新型コロナウイルス感染予防のため中止となり、本展の1回のみとなりました。

本展では、20世紀のフランス絵画を紹介します。ピカソ、ルオー、シャガール、キスリングなど皆さんがよくご存じの作家の作品が揃います。

これらの作品は、山形市にある公益財団法人山形美術館の服部コレクションから選りすぐった51点で、全国を巡回している展覧会でもあります。

普段なかなか見ることのできない世界的に有名な作家の作品をお楽しみに。

 

 

 

(くろう)

 

 

令和2年9月14日(月)
路線バスや電車で巡る自然と歴史 ~乳井と六羽川~

第4弾は、乳井と六羽川をテーマに電車、徒歩などで巡ります。この日、9月3日は予想最高気温が弘前は36℃でしたが、老体に鞭打って、歴史を探訪したいという願望が勝り決行しました。

出発は、弘南鉄道大鰐線「弘前学院大前駅」で大鰐行の9時35分発に乗車です。20分余りで「石川プール前駅」に到着。ここから乳井まで1.7㎞の道のりを徒歩で目指します。小金崎の集落を抜けると、頭を垂れた黄金色の稲穂が広がっていました。25分余りで乳井茶臼館駐車場に到着。ここで前回も登場した地元石川で地域の歴史を探訪している「石川歴史もつけ隊」の工藤隊長と合流です。

 

  

弘南鉄道          頭を垂れた稲穂

 

駐車場から比高差約60mの乳井茶臼館頂上を目指します。非常に急な坂道を歩くこと15分で到着。大量の汗、息も切れたことからまずは一休みです。頂上には東屋と遺跡の説明板が整備されいましたが、何よりも驚いたのは、180度パノラマの絶景です。眼下には津軽平野、石川城と堀越城、弘前と平川の町、その先には岩木山、雲一つない青空と、最高の景色が広がっていました。

ここ乳井茶臼館は、『新編弘前市史』によると戦国時代にこの地を領していた乳井福王寺の砦の一つとされ、大浦為信(のちの津軽為信)の津軽統一の過程で、天正7年(1579)に侵攻してきた桧山城主安藤氏が一時占拠した城館とされています。山頂部は狭小ですが、腰曲輪が確認できます。居館としては手狭ですが望楼にはもってこいの立地と感じました。約440年前の攻防を想像してみるのもよいでしょう。

 

乳井茶臼館頂上からの眺め

 

汗も引いたところで、続いて目指すは乳井神社。10分余りで到着です。乳井神社は福王寺の後身と考えられていて、社殿は3代藩主津軽信義が明暦元年(1655)に毘沙門天堂として建立したものといい、市の有形文化財に指定されています。

続いて、神社の後方に所在する「乳井神社の五輪塔」(1基)と「乳井神社の板碑」(13基)を見学、板碑は鎌倉時代末期から南北朝期の造立とされ、こちらも市の有形文化財に指定されています。

さらにここから丘陵頂部を目指して登ること5分で乳井古館に着きます。

茶臼館とは異なり、平場は比較的広大で、東側には空堀跡が残されていました。

古館からも見事な景色が広がり、茶臼館同様、六羽川の合戦で有名な、忠魂の碑の位置も確認できました。茶臼館駐車場へ移動後、昼食のため石川の集落へ車で向かいます。途中、工藤隊長の勧めで「円筒分水工」である「庄司川幹線水路分水工」を見学しました。この円筒分水工とはサイフォンの原理を利用して円筒中心部に水を導き、その水が円筒外縁部を越流させて分水する仕組みです。今から約60年ほど前の昭和36~37年頃に造られたそうです。

 

  

乳井神社社殿     乳井神社の板碑       乳井古館空堀

 

庄司川幹線水路分水工

 

昼食後、天正7年に家臣の田中太郎五郎が為信の身代わりとなり、窮地を脱したとされる六羽川の合戦で有名な忠魂の碑を目指します。車で移動すること5分。この場所は平川市に所在し、昔の面影は全くない改修された六羽川に隣接する小さな森の中に碑があります。

因みに現在、高岡の森弘前藩歴史館では「津軽の刀剣」展が開催されていますが、その中に田中太郎五郎が使用したとされる平三角槍が展示されています。田中太郎五郎はどのような人物なのか、この槍を使った姿を想像してみてはいかがでしょう。「津軽の刀剣」展は9月22日(火・祝日)まで開催していますので是非ご覧ください。

 

 

忠魂の碑         高岡の森弘前藩歴史館で展示中の「平三角槍」

 

最後に為信最後の居城「堀越城」で工藤隊長と別れ、茅葺屋根の旧石戸谷家住宅で心地よい風を感じて一休み。場内を散策した後、「堀越」バス停から14時発の弘南バスで弘前を目指してこの歴史巡りは終了です。

今回も弘前のまちの成り立ちに関わる歴史の舞台を体感でき、弘前の歴史の奥深さが伝わってきました。大満足でした。

 

堀越城にある旧石戸谷家住宅        弘南バス

 

(くろう)

 

令和2年9月5日(土)

「弘前ねぷた展」間もなく閉幕!

7月23日に開幕した企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」は、9月13日(日)まで、残りあとわずかとなりました。

以前も紹介しましたが、ねぷたの歴史は1722年に5代藩主津軽信寿が紺屋町の織座でねむた流しを観覧したのが記録に残る初出で、今年で298年となります。2年後は300年の記念すべき年であり、ねぷた祭が中止となった今年の分も、来年そして再来年のねぷた祭が楽しみです。

 

ところで先日、弘前図書館で昔のねぷた祭の新聞記事を探していたのですが、なかなか見つけることができませんでした。8月2日から8月8日までの新聞には全く記事はありません。

その理由は分かりますか。

今まで知らずに恥ずかしいのですが、明治5年から新暦が使われるようになるわけですが、ねぷた祭は旧暦でしかも7月1日から主に運行していたようです。全てを調べたわけではありませんが、概ね8月中旬から下旬にねぷた運行の記事が見られます。

例えば、1907年(明治40年)の弘前新聞では8月11日に運行した記事が見られ、1922年(大正11年)の東奥日報では8月26日、28日に夜間運行して翌29日に流しています。1930年(昭和5年)の東奥日報では8月24日から29日まで夜間運行しています。

しかし、それも1955年(昭和30年)までです。現在の新暦8月1日開幕は翌1956年(昭和31年)からとなり、まだ64年ほどしかたっていなかったのです。

では、ねぷた祭がなぜ新暦に変わったのでしょうか。

その理由は、『弘前ねぷた本』(2019)によると、時世に合わない、前年に青森港祭り、後の青森ねぶたまつりが新暦での運行となり、弘前のねぷたまつりも青森と同様に新暦を採用したとされます。

 

今年の弘前ねぷた、博物館の「弘前のねぷた展」も間もなく幕を閉じます。

来てけへ~!(津軽弁)

来てください!(標準語)

 

博物館外観            展示風景

 

(くろう)

 

 

令和2年8月27日(木)

魔除けの神「鍾馗」

全国的に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、先日、中三弘前店に弘前大学の要請で聖龍院龍仙さんが描いたねぷたの鏡絵が掲示されました。(現在は撤収済み)

絵の題材は、魔除けの鍾馗(しょうき)で、その迫力は見る人を驚かされます。

では鍾馗とはどのような人物なのでしょうか。

『津軽の武者絵』(弘前市1984)によると、中国、唐の時代、時の玄宗皇帝は病にかかり、夢の中で小さな鬼が現れ、その小鬼を大鬼が退治しました。帝が何者かと大鬼に問うと鍾馗といい、科挙の試験で落第して自殺したが、丁寧に葬られた恩を感じて天下の災いを除く誓いを立てたと言ったそうです。帝が目を覚ますと病は回復したとされ、以降、鍾馗は魔除けの神となったのです。

その風貌は恐ろしい形相に長髪とひげ面で、ねぷた絵にもよく登場します。

 

ここで、鍾馗を鏡絵に描いたねぷたが何台あったのか調べてみました。

先日発行された平成11年から30年のねぷた絵をまとめた『弘前ねぷた 平成総集編』(路上社2020)と昨年刊行の『弘前ねぷた』を見ると、以下の通りでした。

平成11・12年0台、以降平成13年4、平成14年0、平成15~18年各1、平成19年4、平成20・21年各1、平成22・23年各5、平成24年2、平成25年3、平成26年1、平成27年2,平成28年3、平成29年0、平成30年2、令和元年2台です。

最も多かったのは平成22年と23年でそれぞれ5台でした。

そのころ、日本や世界で、鍾馗を題材にするような要因(災害)があったのか調べてみました。

平成19年新潟中越沖地震(マグニチュード6.8)、20年岩手・宮城内陸地震(7.2)、21年駿河湾地震、22年チリ地震(8.8)ほか、23年東北地方太平洋沖地震(9.0)が起こっていました。

 

今年は、新型コロナウイルスでパンデミックとなり、多くの死者や感染者が出ています。妖怪アマビエで疫病をおさめる取組みも見られますが、来年は鍾馗を描いたねぷたが多くなりそうです。

現在開催している企画展2「弘前ねぷた展」では3点の鍾馗が展示されています。石沢龍峡が描いた養生幼稚園の幟と見送り絵が各1枚、もう1枚は竹森節堂のねぷた絵草稿です。

鬼の形相で災いを一掃してくれそうな鍾馗を是非ご観覧ください。

 

 

養生幼稚園 幟(左が鍾馗)     見送り絵(中央)

 

 ねぷた絵草稿

 

(くろう)

 

 

令和2年8月15日(土)

養生幼稚園のねぷた絵

養生幼稚園といえば、幕末に活躍した長州藩士の吉田松陰が、嘉永5年(1852)に来弘して弘前藩の儒学者伊東広之進(号梅軒)宅で藩の軍事や教育、国事について談じた、市指定史跡である「吉田松陰来遊の地 附松陰室」が所在する歴史ある幼稚園です。

この養生幼稚園のねぷたは、昭和25年の金魚ねぷたの運行をきっかけに始まったとされ、その後、石沢龍峡が描いて毎年7月上旬に園児たちによって町内運行が行われてきました。

現在開催中の企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」では、平成17年に園舎改築の際に発見されたという昭和32年と45年のねぷた絵を展示しています。流すことで厄を払うねぷたまつりのため、昔のねぷた絵は残されていない場合が多く、非常に貴重といえます。

 

展示中の養生幼稚園のねぷた絵

 

また、昭和52年に青森で開催された「あすなろ国体」では、開会式で弘前ねぷたも出陣しました。そのねぷた絵も石沢龍峡のほか多くの絵師たちが制作したもので、高さは約9mにのぼったそうです。その制作や運行映像(約60分)も本展では上映していますので、ねぷた絵師の皆さん、また絵師を志している方、観光客や市民の皆さんも、43年前の石沢龍峡や絵師の姿を是非ご覧ください。

 

 

あすなろ国体ねぷた制作・運行映像   石沢龍峡の制作の様子

 

今回のねぷた展は、中止となった弘前ねぷたまつりを少しでも体感いただけるよう、昨年の運行映像や音色も取り入れて開催していますので、多くの皆様にお楽しみいただけると思います。

コロナ予防のマスクも忘れずにご来館ください!

 

(くろう)

 

 

令和2年8月8日(土)

弘前市立博物館後援会の活動紹介

当館を応援、支援する組織に弘前市立博物館後援会があります。博物館が開館して10年後の昭和62年に設立され、今年で33年。現在の会員は112名で会長は佐々木健氏(前市教育長)です。

主な活動は、貴重な歴史資料の寄贈、博物館展覧会やイベントへの支援、弘前の歴史や文化を伝える冊子の刊行、会員の視察研修などがあります。

昨年度は、特別企画展での物品販売コーナーの設置・運営、長谷川館長時代から取り組む郷土歴史シリーズのVol5『絵図で見る弘前城のうつりかわり』(500円)の刊行、そして視察研修では青森市の東奥日報新町ビル「New´s」、小牧野遺跡と三内丸山遺跡センターを巡っています。

会員は、活動費として特別会員が1万円、普通会員は3千円の年会費を納めますが、特別企画展1回、企画展は何回でも後援会負担で観覧できます。さらに特別会員には特別企画展図録などの刊行物が無償で配布される特典付きです。

 

 

H30特別企画展物品販売コーナーの様子

 

 

刊行してきた『郷土歴史シリーズ』   昨年度の視察研修の様子

 

近世を中心とする貴重な歴史資料を収集、保存、展示、調査する博物館において、後援会が果たしてきた役割は非常に大きく、今後の活動も期待されているところです。

現在、後援会では会員を募集していますので、興味のある方は後援会連絡所(0172-35-0700博物館)までご連絡ください。

 

(くろう)

 

 

令和2年8月1日(土)

喧嘩が絶えなかったねぷたまつり~弘前ねぷた年表から~

今日8月1日は、例年であれば「弘前ねぷたまつり」開幕日です。

いつもとは異なるこの日を迎えた博物館では、来年の祭り開催を期待する観光客や市民の皆様が、弘前ねぷたの双璧とうたわれた竹森節堂と石沢龍峡のねぷた絵や日本画等を紹介している企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」観覧のため来館しています。

 

本展では、前述の作品とともに弘前ねぷたの歴史を年表にまとめて展示しています。

ねぷたが文献に登場するのは享保7年(1722)のことです。弘前藩庁日記(常設展に複製展示)に5代藩主津軽信寿が紺屋町の織座で各町のねむた流しを見学したと記録されています。

その他の主なものを以下の通り列記します。

・延享5年(1748)、町々のねふた流しで、町人に御家中も入り混じって喧嘩口論することを禁じ、以後、ねぷた喧嘩の禁令が頻出する。

・天明8年(1788)、江戸詰めの藩士・比良野貞彦が来弘して、子ムタ祭之図を描き、ねぷた絵画記録の初例となる。

・文政元年(1818)、ねぷたの取り締まりのため市中見回りを強化。

・明治14年(1881)、明治天皇巡行に際してねぷたを御観覧。

・大正3年(1914)、喧嘩防止のため合同運行始まる。

・大正11年(1922)、弘前警察署前で大規模なねぷた喧嘩が発生。

・昭和8年(1933)、最後のねぷた大喧嘩。

・昭和12年(1937)、日華事変勃発。この年から終戦までねぷた自粛(昭和19年除く)。

・昭和25年(1950)、ねぷた100台以上出る。

・昭和31年(1956)、この年から弘前ねぷたまつりは新暦で運行。

・昭和55年(1980)、弘前ねぷたまつりが国の重要無形民俗文化財に指定。

などなど、ねぷたに関する多くの記録が記載されています。

 

年表を見ると喧嘩が絶えなかったことが分かります。ねぷた喧嘩は、江戸時代に始まり昭和初期まで記録が残っていて、大正11年には、よりによって警察署の前で大喧嘩が行われたようで、警察の苦悩とともに、各町、団体の威勢、男気のようなものが伝わってきます。喧嘩の背景として、『弘前ねぷた本』(2019)には、「18世紀後半から、弘前城下の町人町の自治力が高まっていた世相があり、各町のねぷた組も、藩の取締り体制に対抗できる力を持ち始めていたのだろう」としており、居住区域や道場同士の対立感情や道の譲り合いなどが要因と考えられています。

因みに、博物館常設展では節堂が昭和41年に描いた「ねぷた風物志 ねぷた喧嘩の図」が展示され、殺伐とした喧嘩の様子を今に伝えてくれます。

 

 

弘前ねぷた年表           「ねぷた風物志 ねぷた喧嘩の図」右中央

 

今回のねぷた展は、中止となった弘前ねぷたまつりを少しでも体感いただけるよう、映像や音色、そして現在、弘前ねぷたまつり運営委員会が取り組む「城下の美風」(~8月末)同様に「金魚ねぷた」も展示して開催していますので、今年の弘前の夏、ねぷたは博物館でお楽しみください。

お待ちしています。

 

 

              映像や金魚ねぷたの展示風景(ホール)

 

(くろう)

 

 

令和2年7月28日(火)
路線バスや電車で巡る自然と歴史 ~堀越城から石川城へ~

第3弾は、第1・2弾でも紹介した堀越城と石川城を題材に為信統一への道のりをテーマにバス、徒歩で巡ります。この日、7月13日は好天に恵まれ、散策日和となりました。

出発は、路線バス「中央松森町」バス停です。弘南バス碇ヶ関行きの10時8分発に乗車し、10分余りで「堀越」に到着。堀越城にある旧石戸谷家住宅に向かい、前回紹介した地元石川で地域の歴史を探訪している「石川歴史もつけ隊」の工藤隊長と合流です。

 

 

弘南バス        旧石戸谷家住宅

 

旧石戸谷家住宅では、市のホームページでも紹介していたガイドブック(500円)とトートバック(600円)を購入しました。ガイドブックは、為信と堀越城、発掘成果や城跡整備について詳しく紹介しています。また、トートバックは黒生地に堀越城の文字と津軽家の家紋が印刷されたもので、ここでしか買えないレア商品です。ガイドブックを手に散策すると堀越城がより深く理解できそうです。

 

    

旧石戸谷家住宅物販コーナー  ガイドブックとトートバック

 

堀越城については、これまでも紹介してきましたが大浦為信(のちの津軽為信)が、津軽を支配していた南部氏の拠点である石川城を1571年に堀越城から攻めたとされ、その後、津軽氏の居城とした平城です。その石川城までの距離は約3kmと現在も堀越城から見え、非常に近いことが分かります。南部氏からの津軽切り取りを狙っていた為信の心境はいかがなものだったのか。それを思いつつ本丸へ移動です。因みに、現在整備された堀越城は1594年から高岡城(のちの弘前城)築城までの17年間の城の姿で、為信が石川城を攻めた当時の姿ではありません。

本丸では発掘調査で検出された御殿広間の礎石位置が表示され、説明板には推定復元図も掲示していて、為信や2代信枚がどのように過ごしていたのか考えると、ワクワクするとともに歴史の奥深さが伝わってきます。1600年の関ケ原の戦いでは、為信はここから出陣したことになります。

 

 

三の丸から本丸を望む           御殿広間などの推定復元図が掲示された説明板

 

約40分散策した後、石川城までの経路を確認して、いざ徒歩で堀越城本丸を出発です。本丸から東門跡を通り、三之丸南側虎口から土橋を抜けて外構(そとがまえ)に進みます。前川に突き当たると、一旦旧国道7号線に出て歩きます。ほ場整備など後世の改変により当時の道筋は不明ですが、『新編弘前市史』や戦後間もない航空写真などから推定して石川城を目指します。

 

 

本丸から出発の号令をかける工藤隊長  当時の街道と想定した農道

 

約50分で石川の町に入りました。昔は商店なども多くみられたと工藤隊長は言いますが、現在は菓子店、食堂がわずかに残る程度です。

10分ほどで石川城、大仏ケ鼻城(大仏公園)に到着です。端午の節句の日に攻め落とされた石川城。石川高信は自害したとされます。毎年この時期に行われる「大仏公園あじさいまつり」は中止となりましたが、花の状態は最高潮で公園内には20品種、2500株の紫や青など色とりどりの紫陽花が咲き誇っていて、多くの人が見学に訪れていました。高信を弔うかのようです。

30分ほど散策したのち、道の駅ひろさき「サンフェスタ石川」でお昼をとり、13時40分発の弘南鉄道大鰐線の石川駅から乗車して帰途につきました。気温は23度前後でしたが、気持ちのいい汗をかくことができました。

 

  

石川の町     大仏ケ鼻城                紫陽花

 

  

     紫や青色の紫陽花     弘南鉄道大鰐線石川駅

 

今回は、津軽為信の津軽統一への道のりを探りました。ゆっくり歩いて約1時間。のどかな田園風景や普段は車で足早に通り過ぎる石川の町並みは、いつもとは異なり、爽快かつ新鮮でした。

公共交通機関を利用して自然と歴史、そして健康を楽しむことが、今私たちには必要なのかもしれません。

 

(くろう)

 

 

令和2年7月23日(木)
企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」開幕です

日本列島は、梅雨の真っただ中にあり、蒸し暑い日々が続いています。

青森県も夏の高校野球大会がベスト8まで進み、本日は準々決勝と、球児たちの熱いプレーとともに、弘前にも暑い夏が訪れようとしています。

 

さて博物館では、そのような暑い夏を彩るねぷたを紹介する企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」が開幕しました。

本展は、ねぷた絵師の双璧とうたわれる竹森節堂と石沢龍峡が今年没後50年と40年の年にあたることから、二人のねぷた絵、草稿とともに、掛軸、屏風などを展示して、画業とともにねぷたの歴史を紹介しています。

節堂と龍峡の若かりし頃から脂が乗り切った頃の日本画やねぷた絵まで幅広く紹介していますので、二人がねぷた、絵にかけた思いが伝わってきそうです。

また、中止となった弘前ねぷたまつりを少しでも体感いただけるよう、映像や音色も取り入れるなど工夫した展覧会となっていますので、今年の弘前の夏、ねぷたは博物館でお楽しみください。

多くの皆様のご来館をお待ちしています。

 

 

展示風景               屏風、掛軸が並ぶ

 

       

       節堂と龍峡のねぷた絵

 

 

(くろう)

 

 

令和2年7月20日(月)
『絵図で見る弘前城のうつりかわり』好評発売中

今年3月に刊行された『郷土歴史シリーズVol5 絵図で見る弘前城のうつりかわり』は、弘前市立博物館(以下「博物館」)が執筆・編集し、弘前市立博物館後援会が発行した冊子です。

この郷土歴史シリーズは、総論的な博物館常設展を掘り下げるとともに、地域の歴史と文化の面白さをお手軽な価格で提供することを目的として、平成27年(2015)から発行しているものです。

 

 これまでに発行された『郷土歴史シリーズ』

 

今回のテーマの契機となったのは、近年、博物館を訪れる観光客や市民から弘前城に関する資料の問い合わせが多数寄せられたことによります。

本書は、平成22年(2010)に策定された『史跡津軽氏城跡弘前城跡整備計画』(弘前市・弘前市教育委員会)から主に転載したもので、その後の変遷を加筆するとともに、一部内容の修正と鮮明な絵図写真に差し替えたものです。

その内容は、1)築城当初、2)17世紀後半、3)18世紀中頃、4)19世紀初頭、5)幕末期、6)明治時代、7)大正~平成時代の7つの時期を、①曲輪、②濠、土塁、虎口、石垣、③道筋の主に3つの項目について紹介しています。なお、掲載した絵図と地図は、正保2年(1645)推定の「津軽弘前城之絵図」(博物館所蔵)、慶応2年(1866)に書き写して加筆した「弘前城図」(高岡の森弘前藩歴史館所蔵)、昭和27年(1952)「弘前市街図」(弘前市)など9点となります。

コンパクトにまとめた冊子で、500円とワンコインで購入できますので一度手に取ってお確かめください。因みに取扱店は、博物館のほかにTSUTAYA弘前店、宮脇書店さくら野弘前店、ジュンク堂弘前中三店、未来屋書店イオンタウン弘前樋の口でお買い求めいただけます。

 

  

 Vol5表紙        18世紀中頃「宝暦6年の絵図」 

 

 

明治時代「明治4年の絵図」      大正~平成時代「昭和27年の地図」

 

(くろう)

 

 

令和2年7月15日(水)
企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」展示替え作業中

今年はさくらまつりに続いて弘前ねぷたまつりも中止となり、寂しい春から夏へと季節が流れています。

博物館でも5月に予定していた特別企画展1「歌川広重」が中止となり、会期延長した企画展1「津軽アーティスト列伝」もコロナウイルス禍のなか漸く人出が戻ってきたところでしたが、7月12日で閉幕となりました。

ご来館いただきました多くの皆様に感謝申し上げます。

 

さて、現在博物館では7月23日から開幕する企画展2「弘前ねぷた展~節堂と龍峡の世界~」に向けて展示替え作業が進んでいます。

 

 展示替え作業

 

本展は、弘前ねぷたに大きな功績を残し、双璧とうたわれた絵師、竹森節堂が今年没後50年、石沢龍峡が没後40年の年にあたり、この二人の絵師に焦点を当てて、ねぷたの歴史を振り返る展覧会です。

 

ねぷた好きの皆さん、弘前の歴史や民俗の展覧会を楽しみにしている観光客の皆さん、今年の弘前の夏、ねぷたは博物館でご堪能ください。

 

(くろう)

 

 

令和2年7月3日(金)
ラストスパートまであと少し! 企画展1「津軽アーティスト列伝」は7月12日まで

 

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静寂に包まれるロビー

木々の向こうに辰巳櫓(たつみやぐら)がチラリ

 

7月に入りましたね。

暦の上では半夏生(はんげしょう)です。

半夏生とは半夏(烏柄杓-からすびしゃく-)という薬草が生える頃という雑節の一つです。

関西では梅雨でジメっとしたこの時期に、豊作祈願として作物がタコの足のようにしっかりと根を張るようにと、タコを食べる風習があるとか。タコには栄養ドリンクでおなじみのタウリンというアミノ酸が豊富に含まれているので、夏バテしやすいこの季節には体を元気にしてくれるもってこいの食材なんですね。

ああ、たこ焼きが食べたい。。。画像2

 

 

閑話休題

 

6月19日から都道府県境を跨いでの移動制限が全国的に解除となり、半月が経とうとしています。

ステイホームのストレスからようやく解放されたといっても、まだまだ事態が収束したとは言えないのが実情ですね。

人類の歴史は常にウイルスや細菌など疫病との闘いでもありました。

言い換えれば、私たちはそうした目に見えない様々な脅威とともに日々暮らしているのだと思い知らされます。

 

わが博物館も、この一連のコロナ禍にあって、4月半ばから5月半ばにかけて1か月ほど休館を余儀なくされました。

現在は、企画展1「津軽アーティスト列伝」を期間を延長して開催しています。

再開後の出足は今ひとつでしたが、ありがたいことに、足を運んでくださるお客様が徐々に増えてきています。

皆さまに安心して観覧いただくため、館内の消毒や換気などには細心の注意をはらっており、また、皆様にも入館時の手指消毒、マスクの着用などのご協力をお願いしております。

 

さて、自粛疲れや在宅ストレスなどそのままにしていませんか?

気分転換に当館でタイムトラベルなんでどうでしょう?

 

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公園散策の休憩ポイント

(弘前市立博物館)

 

先史時代に始まり、中近世、そして果ては近現代まで。

 

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ボクもお迎えしていますヨ

(国指定重要文化財 猪形土製品)

藩政時代に活躍した絵師たち

美術工芸展示室

 

津軽ゆかりの作家による多彩な作品や資料の数々をご覧いただけるツアーとなっております。

 

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現代作家による絵画と彫刻

特別展示室

 

どうぞ、それぞれの時代に思いを馳せながら当館にて心行くまで時間旅行をお楽しみください。

 

「津軽アーティスト列伝」7月12日(日)までの開催です。

 

(お)

 

令和2年6月22日(月)
路線バスや電車で巡る自然と歴史 ~堂ケ平と石川城~

第2弾は、前回紹介した堀越城に関係する石川城と堂ケ平を電車と車で巡ります。

出発は、弘南鉄道大鰐線の弘前学院大前駅。9時35分発に乗ると、青森県中南地域県民局とコラボした「古津軽列車」で、車内には「鳥居の鬼コ」(パネル)がお出迎えです。15分余りで津軽大沢駅に到着。ここから堂ケ平を目指しますが、4.4㎞南に位置し、徒歩では時間を要するため、今回は車で向かうことにしました。地元石川で地域の歴史を探訪している「石川歴史もつけ隊」の隊長である工藤氏の協力を得て、今米国で話題という「軽トラ」でいざ出発です。大沢の集落を抜けて3.2㎞程進むと堂ケ平の標柱が見え、ここに駐車してここからは急な坂を徒歩で登ります。新緑のなか心地よい風を感じて、汗を流しながら歩くこと約30分で堂ケ平到着です。

一帯は杉林が広がるやや平坦な地形で、中世以来の歴史が佇む地域です。

      

弘南鉄道「古津軽列車」 車内の「鳥居の鬼コ」 「堂ケ平」の標柱

 

まずは、12世紀代の「堂ケ平経塚」(市指定史跡)に向かいます。途中、山の神や淡嶋社などの祠を通過し、丘陵を少し登ったところに観音堂が現れます。よく見ると周溝が巡らされ、この場所が経塚です。経塚からは、昭和37年に12世紀末の珠洲焼の経容器(市指定文化財:弘前市立博物館蔵)が発見されていて、『弘前の文化財』(弘前市教育委員会:600円)によると奥州藤原氏における仏法による内国化を知るうえで貴重な遺構と評されています。

次に樹齢約700年の「燈明杉」(県指定天然記念物)を探します。案内標識に従って傾斜地を登ること5分。永い年月を生きてきたことを証明するかのような枝ぶりに驚愕です。幹周は約6.6m、樹高はおよそ33mで、毎年同じ時期に天よりこの杉に燈明がおり、光を放ったことからその名が付けられたといいます。

次は「私たちの名水」に指定された「堂ケ平桂清水」です。カツラの木の根元から水が流れていて、龍の顔のようにも見える水口は興味深く感じられました。この日も一般の方が数個のタンクに水を汲んでいました。私たちも椅子に腰を掛けて冷たい水を飲みつつ、団子を食して一休みです。何とも言えない心地よさでした。到着してから1時間佇んだのち車に戻り、次は石川へ向かいます。

    

この先が堂ケ平経塚  燈明杉         堂ケ平桂清水

 

まずは同じく「私たちの名水」に指定された「御茶水」を目指します。大鰐町との境界にある尾開山(508.8m)に向かって20分程走ると到着です。木造の覆屋とブロック造の休憩所があり、堂ケ平桂清水とは景色は異なるものの、マイナスイオンが感じられそうです。

続いて八幡宮を目指し、5分程で到着です。鳥居には赤の「鬼コ」が掲示され、かわいらしい姿をみせてくれました。

    

御茶水        八幡宮        鳥居の鬼コ

 

次はいよいよ石川城です。5分程で到着。数年前に大型駐車場を含めて公園として再整備されたもので、散策にはもってこいの城跡、公園です。

石川城は、南部氏の津軽支配の拠点として、1533年ないし1502年に築かれたとされ、石川高信が居城したもので、大浦為信(のちの津軽為信)が、1571年の端午の節句に約3㎞離れた堀越城から攻めて落城させたとされます。その規模は、『新編弘前市史』(弘前市)などによると約24ha、13の曲輪で構成されていたとされますが、13の曲輪が同時期に機能していたかは明確ではありません。平成7~8年には、内館と呼ばれる曲輪の発掘調査が行われ、同時代の陶磁器とともに大規模な堀跡等が発見されています。現在、13の曲輪の一つである大仏ケ鼻城が市の公園(大仏公園)なっています。

大仏公園に入園する際は、公園入口に駐車できます。5分程登ると最高所に着き、北を望むと岩木山と堀越城、南を望むと大鰐町と阿闍羅山が一望できます。当時、石川高信が津軽の南端のこの地から目を光らせていたことを想像してみてはいかがでしょう。

石川城(大仏公園)には、他に石川三十三観音、私が小学生の頃は中に入れた洞窟(現在は進入禁止)、隣地には大仏院が所在します。

  

石川城最高所からの眺め      整備された石川城の曲輪

  

石川三十三観音  洞窟       石川駅       

 

最後に、大仏公園から5分程度歩くと弘南鉄道石川駅に到着します。駅からの岩木山の眺めも見事です。13時40分発の電車で帰途につき、今日も、充実した自然と歴史巡りとなりました。

自然や歴史を満喫したい方は、チャレンジしてみてください。新たな発見があるかも! 

 

(くろう)

 

 

令和2年6月8日(月)
路線バスや電車で巡る自然と歴史 ~大鰐茶臼山と堀越城~

博物館の常設展には、中世コーナーに「為信の居城~堀越城~」をテーマとして、その歴史とともに金箔押し武具や陶磁器などの出土遺物、江戸時代に描かれた絵図をパネル化して紹介しています。その堀越城が、6月1日に全面オープンとなりましたので紹介します。

また、ただ紹介するだけではなく、公共交通機関の利用促進を図ることも目的の一つに、両者をコラボした形で「路線バスや電車で巡る自然と歴史」と題して紹介します。第1弾は、大鰐茶臼山と堀越城です。

 

 

堀越城の展示パネル          展示中の堀越城出土遺物と絵図パネル

 

出発は、弘南鉄道大鰐線の弘前学院大前駅。9時35分発に乗り、30分余りで大鰐温泉駅に到着です。駅から手古奈通りをゆっくり歩いて茶臼山公園まで約5分。山頂を目指して鉄道のスイッチバック方式のような細い道を進むと赤や紫、白色などのツツジが咲き誇り、地元の園児も満喫のようです。

展望台からは弘前藩主が湯治場とした温泉の町大鰐が一望でき、岩木山の姿も望め、新緑の広がりとともに新鮮な空気でリフレッシュできました。

  

弘南鉄道大鰐線   茶臼山公園     展望台から望む温泉の町大鰐と岩木山

 

公園を出ると、近くの餅店で名物の串餅を予約購入して駅に戻り、堀越を目指して11時47分発の弘南バスに乗車します。15分程で到着し、いざ堀越城へ入城です。

堀越城は、弘前藩初代藩主津軽為信がそれまであった城を改修して、1594年から弘前城へ移転するまでの17年間、津軽氏による津軽支配の拠点とした城で、もとは約14haの規模に本丸、二之丸、三之丸、外構、小丸と北の曲輪で構成されていたと考えられています。なお、現在は、平成24年度から始まった整備が完了して、本丸、二之丸、三之丸と外構、そして城跡東側に整備された市指定文化財の旧石戸谷家住宅がガイダンス施設として公開されています。

この住宅は、江戸時代末期(推定)の茅葺の農家住宅で、総床面積は437.63㎡あります。(非常にでかい!)内部には為信や堀越城の歴史とともに城跡整備の概要が解説板で紹介され、ワークスペースの土間では「為信の城を巡る 歴史回遊 土の城 堀越城」と題した映像が流れています。(必見!)

これからの暑い季節には、茅葺屋根の下で涼しげな風を受けつつ、現代でありながらも江戸時代の雰囲気を感じることができると思います。

 

整備された堀越城             復元された旧石戸谷家住宅

 

当時の建物を推定復元したジオラマ     為信と堀越城を紹介した映像

 

見学した後、1時間ごとに走る弘南バスで弘前市内を目指します。城跡散策で流した汗も15分間揺られるバスのクーラーで心地よく感じられました。(大満足!)

  

弘前を望む羽州街道   「堀越」のバス停     弘南バス

 

最後に、弘前のまちの原点は弘前城とその城下町ですが、さらにその礎となったのが堀越城です。

このような時だからこそ、弘前の歴史を公共交通機関を利用して、普段は目に留まらない風景をゆっくりと体感することも良いものです。

 

(くろう)

 

令和2年6月5日(金)

次亜塩素酸水の寄贈

本日、公益社団法人弘前青年会議所から消毒用に使われる次亜塩素酸水が寄贈されました。

来館したのは、太田副理事長と菊池氏のお二人。

当市教育委員会の新型コロナウイルス感染予防として、濃度200ppm、20リットル入りを2箱頂戴しました。弘前青年会議所の様々な取り組みに感謝しつつ、今後の当館の感染予防に活用させていただきます。

また、現在当館では新型コロナウイルス感染対策を図りながら、企画展1「津軽アーティスト列伝」を開催しています。津軽にゆかりのあるアーティストによる「アート」を、縄文土器から現代作家である工藤甲人、奈良岡正夫、佐野ぬい、奈良美智の作品まで展示、紹介していますので、是非この機会にご観覧ください。

 

 

太田副理事長から寄贈     来館した太田副理事長(中央)と菊池氏(右)

 

(くろう)

 

 

令和2年5月30日(土)
近代化を支えた第八師団の遺構「旧弘前偕行社」

唐突ですが、博物館常設展の近現代コーナーでは、弘前市の近代化を支えた旧陸軍の第八師団を紹介しています。

 近現代コーナー展示状況

 

第八師団は、明治29年に弘前への設置が決定され、2年後に初代師団長立見尚文が着任して騎兵、野砲兵、輜重兵、工兵、歩兵、衛戍病院などの施設とともに開設します。日露戦争の黒溝台開戦時には出兵し、多くの犠牲を払いながら戦果を挙げて「国宝師団」とも称されました。

現在、それらの施設、遺構の多くは解体されて見ることはできませんが、約7年に及ぶ大規模な修理が終了した、将校の社交場であった旧弘前偕行社(国重要文化財)の姿を、先日、カメラに収めてきましたので紹介します。

 

 

正面外観                 ポーチにある第八師団に因んだ「蜂」の飾り

 

会場                   外国製のタイルが使われた暖炉

 

この会場を含めて集会場などは貸し出ししていて、レトロで豪華な雰囲気の中で各種イベントや会議が開催できます。

 

  

北廊下          展示室(書籍室)    南廊下

 

展示室や南廊下には第八師団や所有者である弘前厚生学院の歴史、そして修理工事の様子が紹介されています。展示中の棟札には「堀江佐吉」の名前もあり、探してみてはいかがでしょう。

 

   

会場から見える庭    復元修理された照明器具  客室

南面外観

 

入館や貸し出しは有料となります。詳しくは旧弘前偕行社(電話0172-33-0588)へ。

 

最後に、113年前の明治の姿に復元された旧弘前偕行社は、当市の近代という時代、そして第八師団の設置がもたらした経済と文化の発展と歴史を知るうえで貴重な建造物、遺跡です。

みんなで大切に保存・活用し、未来へ継承したいものです。

 

(くろう)

 

 

令和2年5月17日(日)
コロナに警戒しながらの再開!

弘前さくら祭りが中止となり、過去に例を見ない弘前公園のゴールデンウィークが終わりました。

その公園にある博物館は、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を受けて4月20日より市公共施設とともに休館並びに臨時休館して来ましたが、この度宣言解除を受けて約1か月ぶりに5月19日より再開することとなりました。

 

現企画展は、津軽にゆかりのあるアーティストによる「アート」を、縄文土器から現代作家の作品まで紹介するもので、名称は「津軽アーティスト列伝」です。

本展は、4月オープン予定であった「弘前れんが倉庫美術館」を盛り上げ、当館とともに弘前の歴史や芸術に触れていただく相乗効果を目指して企画したものですが、コロナウイルスの影響でその美術館のオープンは延期されました。この度、6月1日に開館されることとなりましたので、博物館そして美術館をともに散策していただきたいと思います。

また、臨時休館中を含めて来館いただけない方のために「【号外】かわら版」を開設して、学芸員が本展の展示作品を詳しく紹介していますので、開館後も県をまたいでの移動自粛などに伴い来館できない方はそちらをご利用ください。

 

非常事態宣言が解除されたとはいえ、まだまだ感染予防に努め、警戒しながらの再開となりますが、1日も早く新型コロナウイルスが収束し、多くの皆様が歴史と文化に彩られた「弘前」をゆっくりと訪れる日が来ることを切に願ってやみません。

 

  

縄文土器                 古川武治、佐野ぬい、奈良美智作品 

 

(くろう)

 

 

令和2年4月29日(水)
「【号外】かわら版」 開設

臨時休館中のため現在開催している企画展1「津軽アーティスト列伝」は、ご観覧いただけません。

そこで、本日より「【号外】かわら版 ~展示資料ピックアップ~」を開設しましたので、観覧した気分でご鑑賞ください。

臨時休館中、学芸員が企画展1で展示してる資料の中からピックアップして、定期的に紹介しますのでお楽しみに。

   

臨時休館中の博物館            企画展1「津軽アーティスト列伝」ポスター

 

(くろう)

 

 

令和2年4月19日(日)
打倒コロナ! 臨時休館の前に。

博物館は、全国に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令されたことを受けて開催された市の対策本部会議において、4月20日(月)から5月6日(水)まで市の公共施設とともに休館及び臨時休館することが決定されました。

現在開催中の企画展1は、津軽にゆかりのあるアーティストによる「アート」を、縄文土器から現代作家の作品まで紹介するもので、感染拡大の影響により次回の特別企画展が年度内開催見送りとなったことから、会期が7月12日(日)まで延長されることとなりました。

「打倒コロナウイルス」の願いを込めつつ、今回の臨時休館で観覧できなくなった皆様に向けて、展示の様子を紹介します。

 

    

棟方志功から始まる企画展        本展ではおしりも見える猪形土製品

 

  

吉祥寺の阿弥陀如来           津軽塗

 

  

破笠、芝山、魯仙、仙年など・・・掛軸  東・西・三縞こぎん

 

  

青森県画譜の今純三           新井晴峰、山崎朝雲

 

  

工藤甲人、奈良岡正夫          古川武治、佐野ぬい、奈良美智

 

博物館職員一同、新型コロナウイルスが終息して、多くの皆様が1日も早く日常生活に戻り、博物館の再開とともに観覧されることを切に願っています。

 

(くろう)        

 

 

令和2年4月4日(土)
企画展1「津軽アーティスト列伝」開幕

本日より、企画展1が開幕しました。

この展覧会は、アートをテーマに津軽にゆかりのあるアーティストによる「美」を紹介しています。縄文時代の器から中世の板碑(拓本)、近世以降の津軽塗、鵜川常雲や新井晴峰の屏風、小川破笠や平尾魯仙などの掛軸、そして近現代の今純三、古川武治、工藤甲人、奈良岡正夫、佐野ぬい、奈良美智といった作家の作品などを展示しています。

今回紹介する縄文土器は、円筒形のフォルムが特徴の円筒上層式土器(縄文時代中期)、幾何学文様が特徴の十腰内式土器(後期)、そして影響を受けた土器片が沖縄県でも発見された、芸術の域に達した亀ヶ岡式土器(晩期)で、時代による移り変わりとともにその美を感じることができます。

 

館内の様子

円筒上層式土器と十腰内式土器

亀ヶ岡式土器

 

(くろう)

 

問い合わせ先

担当 博物館

電話 0172-35-0700

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