平成30年度に開催した市長車座ミーティングの結果(概要)をお知らせします。
弘前市の地域課題や大学生が考える地域を盛り上げる仕組みなどについて意見交換をし、「学生力」による魅力あふれるまちづくりの推進と「学園都市ひろさき」について考える契機とするために開催しました。
日時:12月2日(日曜日)午前10時30分~正午
場所:土手町コミュニティパーク多目的ホール
参加団体:大学コンソーシアム学都ひろさき
県外から来た学生に対しての支援について、具体的には弘前市に愛着を持ってもらうことが大事と思います。市を第2の故郷だと感じてもらえればいい。その手段として市の奨学金制度を市民だけではなく県外から来た弘前在住の学生へ広げることはできないか。
奨学金制度については、どのタイミングで必要なのかを考える必要がある。また、制度があるうちに弘前の魅力に気付いてもらう必要があるし、大学4年間で弘前の津軽地域の良いところに気付いてもらう機会を増やすこともまた必要である。県外の人だけではなく、地元に生まれ育った人も地元の良さに気付いていないことが多い。まずは今の話を聞いて、このまちについて意見を言える、言ってもらう機会を作ってもらいたい。そのときに何が大事なのか。お金の話なのか、仕組みの話なのか情報なのか。そこにつなげていってもらうともう少しクリエイティブになっていくと思います。
最近耳にするようになった言葉として「Z世代」というものがある。Z世代は1990年代後半生まれを指し、ちょうど私たち大学生が生まれた年にあたる。その特徴は、インターネットを使った情報収集能力が極めて高いことから、世間の基準やものごとに合わせるのではなく、自分のものさしでいろいろな価値観を判断するということがある。自分にとって価値あるものを友人や社会と共有したいという意識が強いことから、自分から世間に発信し、友人や社会からのフィードバックを得て、さらに自分が成長していくという個人発の情報に価値を感じ、ボランティアがブームになるなど身近な充実感・一体感が私たちZ世代を突き動かしているとも言えます。しかし、これに対して現在社会の担い手となっている30代~50代の「X世代」はバブル崩壊などを経験していることから政治や社会に対して冷めている傾向があるともいわれている。
今回、西弘のちょうちん祭りに参加して感じたことは、学生同士での情報共有や助け合いは様々な面でみられるが、X世代は隣同士の屋台の人と会話を交わすことやテントを張る際の助け合いはあまりみられなかった。厳しい世代を乗り越えてきたX世代は効率性を求め、冷静に物事を判断するなど個人の能力が高いことが感じられた。
個人の能力は低いが共有能力が高いZ世代と個人の能力は高いが共有能力が低いX世代が共に活動できるものとして市長はどのように考えるか。
確かに30代から50代は冷静に効率性を重視している。世代の話ではないが、世の中が知性の時代から理性の時代へ、そして感性が大事にされる時代となった。今の世の中は感性からもう一歩踏みこむ時代になっていて、それが「品性」である。
世の中では経済効果の話が中心だが、それだけでなく根底に知性・理性・感性・品性が入って、街として品が良い、上品、落ち着く町を目指していくのが皆さんの世代。X世代の人たちも効率性など経済のことが中心だが、そこに皆さんの品の部分を入れて町全体を創っていってほしいと思います。私の先輩方には、とにかくがんばることが美徳で成功を成し遂げた世代があって、その世代のがんばりがあって次の世代につながっていって町の歴史や伝統になっていく。X世代と上手く交流して、X世代の苦手な部分を補ってもらいたい。
私の所属するサークルでは、緑の羽根募金、赤い羽根募金、被災地への募金活動を行ったり、地域の子供たちといっしょに遊んだりするなどの活動を行っています。
市のごみに対する課題について、私たちもペットボトルキャップの回収などにより協力しているが、指定袋制度の導入ではなく、別のごみを減らす方法について、市長はどのようにお考えでしょうか。
ごみの減量化自体は、自分もそうだが、まずは3キリ運動で、リサイクル・リユースも同時並行でやっていく。市民は実際やっている。だけどもごみは減らない。青森県はごみの排出量が多くて、そのなかでも特に弘前市は多い。これは私たちがぜいたくな暮らしをしているのかといえばそうではない。努力はしてきているがなぜか多い。その分析をしっかりと行って、何をどうするのかを市民にお伝えして解決に結びつけていきたい。市民が動くということが大事で、そのためにも気付くきっかけづくりのために働きかけていく。
全国的に有料化、指定袋制度導入の波がきている。全国の流れに立ち向かっていく。市民と一緒に進めていく具体的なことを見つける作業を現在行っていますので、一緒に取り組んでいければと思っています。
実習の中で企業の人たちなどと連携してイベントを運営していくということを行っていて、私たちは小学生を対象とした「お仕事体験広場キッズハローワーク」という職業体験のイベントを開催しました。その中で、子どもたちに青森県の伝統的な仕事(ねぷた絵師・津軽塗職人など)が人気でした。県外の人が体験してみたいというのは分かるけど、県内の子どもたちにも人気だったことに驚きました。県内の伝統的な職業は地域を支えるうえで大事なことだと感じました。弘前に来てこのようなことができて自分でも勉強になっていると思います。
学生の勉強になるようなことを弘前市と学生でやるとしたら他にどのようなものがあるとお考えですか。
私がこういうことをやってほしいということよりも、学生の皆さんがこういうのをやればどうかということを企画して実施・行動に移していって欲しい。行政が考えても行政の枠から出ない。枠から外れたところにもっと地域の魅力が幅広くあるので、そこに皆さんの感性を含めて入っていって、行動を起こしたいという思いを持ってもらえればと思います。
1人の頭では想定できない広い範囲でその人たちの行動力を生かして結果が出ていく。一人が全部をやる必要はなく、部分部分を担う。
イルミネーションのように一つ一つの小さな明かりがたくさん集まって輝いて見える。そのような街が素敵だと思います。是非皆さんがやりたいことを積極的に行動に移していってもらいたいと思います。
新入生が入ってきたときに弘前について説明していますが、市長にとっての弘前ってこんな街だというものがあればお聞かせください。
そのキャッチコピーがなかなか難しい。その時代時代の人が苦難を乗り越えて先人たちが歴史を作り上げてきた。私はその上に生かされているという感覚と、市民の方々に生かされているという感覚です。生かされている分、役割をしっかりと果したいと思っています。人は自分の一回きりの人生を昔の人と同じように繰り返している。このことを自分の中に気づけるかどうか。そして弘前というまちがその繰り返しの中に成り立ってきた。おそらく皆さんの地元もそうです。質問の答えにはなっていないかもしれないが、このことを皆さんの感性のなかで創り上げていってほしい。
福祉施設でのボランティア活動を行っています。行政に福祉専門職が増えることが重要であると考えていますが、市長はどのようにお考えでしょうか。
私はワンストップサービスとしての相談窓口がすごく必要であると思っています。しかし、これも一気に進むものではありません。
平成25年ころからヒロロの市民生活センターで広域市町村の消費生活相談を受け付けています。弘前市ではやっていたが、周辺市町村では県の仕事として県の合同庁舎に入っていたものを集約し、広域市町村の相談も受け付けています。
広域行政の展開の中で、成年後見制度の関係の専門職を配置した総合的な相談ができる権利擁護のための窓口が必要です。これを一つの自治体で行うのはなかなか大変なんです。これからは広域行政でやっていかなければならない。それぞれの行政体が人口減少の中でお互い支えながら得意分野に集中していく。そういう意味で、総合窓口、ワンストップサービスに向けて、一気にはできないが、解決できるところから一つ一つ組み込んでいきたい。
外国人向けの弘前の観光コンテンツを探るという活動のなかで、台湾人向けの経済効果をもたらすような観光コンテンツを作るという取り組みを行っています。弘前の観光分野で経済効果をもたらすような活動についてどのような取り組みがあるのかお聞かせください。
日常の何でもないところ、ハレ(儀礼や祭などの非日常)とケ(日常)のケの魅力を出していく。なぜか落ち着く、あずましいまち、そこが弘前の魅力。1回目の観光ではハレの部分を見る。リピーターになってもらうにはケの部分。何でもない日常生活の部分に人々の暮らしがあって日常の食べ物がある。そこを外国人向けにだんだん出していけるようになってきているのかなと思っている。
経済効果をもたらす観光には知恵が必要。「この地域の強みはこれ」、「まずはここから売り出していく」、「次はこれと戦略を練っていく」、そういう組織体をDMOというが、弘前市では津軽地域の広域14市町村で戦略を練る組織を立ち上げ、国内観光客・インバウンドのさらなる増につなげていきます。
金額面でいくと、国内でしっかりとやってベースを作っておかないとインバウンドで稼げない。バランスよく取り組んでいくことが大事だと考えています。
自治体や地元企業と学生との交流の場は弘前には多いと感じているが、表面的な交流しかできていないと感じる部分もある。学生も企業の人も関わり会いたい気持ちは高いが、それを深い話ができるような場にするのはどうしたらよいか。
私は大学との連携とずっと言っている。言葉だけではだめで、表面上の付き合いではなく、出向いて、顔を合わせて4時間も5時間も話をする。これを繰り返すと、表面上の付き合いとは言えなくなってきます。じっくり話をする機会を作っていくことで交流する機会も増えていきます。密な関係を作っていくのが本当の交流、交流のなかから生まれる連携につながっていく。それを仕組みとして作りたいと思っている。
今回の放課後ミーティングも次につながるものと思っています。
学生の皆さんとの交流といえば、私は学生と社会人が自由に意見交換する場である「やわらぼ」という交流の場に顔を出しています。そこでの話から、行政のほか町会や警察も巻き込んで、結果的に弘前大学周辺への20基の防犯カメラと50基の防犯灯の増設を実現できたという経験もあります。
学生と地域との連携、学生と社会との連携など、いろいろな面で学生の果たす役割、学生だからこそできることがたくさんある。
自分がやりがいのある仕事につけるかどうかはすごく大切であり、その判断基準につなげていくためにも、学生と行政と企業のネットワークを強めていきたいと考えています。
弘前のコンテンツで一番なのは観光などではなく学生だと感じている。学生が1万人いて、ここに集まっている人たちは火花で、しかしそれがなかなか行政や市民に引火しない。爆発をもっと起こしてほしいと思っている。市民一体となって学生をもっと盛り上げるために何か事業を企画できないかと考えているがどうか。
ほんとうにもったいない。1万人も学生がいて、学生ならではの能力も含めてそれをまちづくりに生かさない手はない。今までもったいないことをしていた。それは気づいているが、やり方が見つからない。それこそこういう場が必要。一人ひとりが話をしてそれを皆さんで情報共有するという形も大事だが、実現するためには表面的・形式的なやり取りではなく、雑談的にたくさん話をして、小さいグループで行政、大学の学生、町会等が入り乱れて話をする方が早い。同じ1時間、1時間半でも、物事がそこで決まっていく。アイデア出しを超えた実動に移っていく。そこの場に学生の皆さんのいわゆる企画力、行動力、その先に実現すると達成感・充実感を味わうことが次のステップにつながっていくので、それを一緒にやりましょう。
やり方は話し合っている中で見えていく。まずこういう場があればいい。
協力校にお邪魔して保健室業務の観察・補助などを行っています。学校の現場をみて、やはり学校だけでは子供たちを守るのは難しいのではと思いました。地域に身近な開かれた学校づくりが大切。市の教育委員会に学校保健の専門員を配置してもらえないかという提案です。例えば養護教諭を経験した人。より子どもの保健安全を守るためにも教育委員会に家庭から電話した時に専門的な視点から答えてもらえると嬉しい。
学校の先生方の業務がすごく幅広くなっていて、一生懸命サポートしてやってもらっているが、ニーズが多種多様化しており、これは教育委員会の中でも検討している問題。大学のサークルも含めた養護教諭を目指している人との情報共有をさせてもらえればと思っている。
学校で何かあったときの初期段階で保健室の先生がさっと動いてくれるのは本当に重要なこと。学校で安心して子供たちが学ぶ環境の整備にはそういう面もあると思っているので、ぜひ今活動している内容を教育委員会とつながりながらお互いが同じところを目指していければと思っています。
救急救命を学んでおり、将来は救急車に乗って活躍したい。町会と大学生がうまく地域でつながれば、地域の活性化につながる、高齢者に刺激を与えて、孤立や孤独死等を防ぐこともできるなど、いろんな問題が解決できるのではないかと感じている。町会と大学の間に市が介入して大学生が積極的に地域に参画できるようなシステムを作ってほしい。
地域と学生との連携はまさにやっていきたい。やれると思う。防災訓練、自主防災組織、消防本部の訓練にも参加してもらっているので、そういうことをもっと具体的なものをやっていければと思っている。いろんな機会でつないでいきたい。
活動の輪を広げる、普及していく。せっかく思いがあっていいことをやっていても、なかなかそれが広がらないと一人に負担がかかってしまう。そうならないためにもそれぞれができること、手伝いでもいい、同じ思いをして行動に移していくという人たちを増やしていけばいいと思います。
市に自主防災組織の支援制度があるので、ぜひ学生発として活用してやっていただければと思います。
「弘前市の農業のこれからについて」をテーマに開催しました。
日時:平成30年12月19日(水曜日)午後5時~午後6時
場所:佐和家
参加団体:弘前市認定農業者連絡協議会・岩木町認定農業者連絡協議会・相馬地区認定農業者連絡協議会
今年、トキや早生ふじ系の早もぎの収穫・輸出が行われたが、現在も売れ残りがあり、その後の輸出状況が芳しくない。売れ残ったのは、渋みの強いものと思われる。31年産からは適期収穫を目指すよう、市が音頭をとって指導して欲しい。
広域市町村が抱える様々な問題について、弘前市が主導して取り組んでいく旨、各首長から了解を得ている。12月27日にその集まりがあるため、適期収穫の指導についても意見を出していく。
今年は黒星病が蔓延し、例年よりも薬剤散布の回数が増えた。経費もかさんでいるため、助成は検討できないか。
広域市町村長の中でも農薬に関する助成の要否は意見が分かれているが、できれば薬剤散布への補助以外でお金を使っていきたいと考えている。例えば、「高く販売するための施策」で、収入と経費のバランスをとっていくなど。その代わり、一日でも早く新薬を開発し、認可してくれるよう、県知事を筆頭にお願いをしている。その点でご理解をいただきたい。
最近、反収が高く、農薬散布量も軽減できる「高密植わい化栽培」が注目されている。この栽培にはかなり多くの苗木を要し、導入費用がかかるが、弘前市では補助対象外となっている。青森市ではその改植に係る補助をしているという話を聞いているため、弘前市でも検討して欲しい。
高密植わい化栽培については、弘前市のように降雪が多く、中山間地にあるりんご生産地でも安定して導入できるか、見極めながら進めたいと考えている。なお、青森市の高密植わい化栽培に係る補助は、国の事業を活用したものである。国の改植事業を利用したい場合、市担当まで相談して欲しい。
現代の農業は環境が変わってきており、後継者不足や産地の維持が困難となっている中で、市が「これをやっていきたい、これをやればいいのではないか」と考えていることを伺いたい。
これまで相当力を入れてきた「販売」に関する施策を継続するとともに、もう一度、「生産」の方に力を入れたいと考えている。「農業で稼ぐ」というような人達が出てくる位の農業に育てたい。そのために、経営農地の大規模化というのは国で示しているが、「今の園地でどうすればしっかりと収入を伸ばしていけるのか」を皆様と一緒に考えていきたい。例えば、園内整備による省力化を進めて、より高品質なものをしっかりとした数量を確保できるようにするなど。また、労働力不足については、市主催の「りんご研修会」受講者を、作業の熟練度別に市内生産者へ紹介する仕組みがあれば、問題解消できるのではないかと考えている。こうした仕組みづくりを進めて、良ければどんどん拡大していきたい。
私の園地の所に市道があるが、未だに砂利道である。しっかりした農道があれば耕作放棄地は出てこないと考えている。こうした農道の舗装をして欲しい。
まずは現地をしっかりと見ていきたいと考えている。対応は建設部とも相談していく。
りんごづくりの要は剪定と考えているが、冬場は園地に赴くまでの労力を要し、十分な条件で作業ができていない。せめて、地区毎に園地の除雪タイミングが分かれば剪定のスケジュールも立てやすいが、方策を伺いたい。
対応は建設部と農林部に検討させる。生活道路の除雪に目処が立った時点でも、農道の方はこうした段取りで進める、という目安が分かればよいと考えている。
弘前市のりんご産業は技術日本一、生産量日本一と何でも日本一と思っている。しかし、何が足りないかというと所得で、他県のりんご生産者に及ばないのが現状である。所得向上のためには、市や農協が単独で施策を進めてもどうにもならない。市長がプロフェッショナルである観光分野との連携など、行政が関係団体と一体となった取り組みをすることで、りんご農家の所得も日本一となって欲しいと考えている。ご意見を伺いたい。
市の観光行政は、例えば平成22年の新幹線介入などの機会を活かして施策を講じてきたが、なかなか定着せず、また、行政でお金を出さなければ続かないという状態にあった。季節限定でよいと考えているが、宿泊所での地元産りんごのおもてなし(ウェルカムりんご)を実践する等、観光関係者と農林部門との連携の中で考えていきたい。また、地域社会との連携を考える場として「コラボ弘大」という所がある。もし興味があれば、ぜひお越しいただき提言をして欲しい。
担当 広聴広報課
電話 0172-35-1194