令和3年度より、弘前城跡(弘前公園)内にある国の重要文化財・弘前城二の丸南門および三の丸追手門の修理工事を実施します。2つの城門の工事内容は、現在の基準を満たす耐震化や銅瓦葺(どうかわらぶき)屋根のふき替えなど、ほぼ同じです。令和3年9月より本格的な現場作業を開始し、各修理を経て令和4年12月に完成する予定です。
2つの城門は、工事を終えるまでの間仮設足場で覆われることになりますので、しばらく城門の外観を見られなくなります。なお、工事中も城門の通行は可能ですが、状況によっては一時的な通行制限なども想定されます。皆さんのご理解・ご協力をお願いします。
令和4年度 弘前城二の丸南門および三の丸追手門の修理状況・内容はこちら
弘前城二の丸南門では、屋根下地木部の部分補修に着手しています。補修が必要な箇所では、傷んだ既存の木材を取り外し、代わりとなる新しい木材で屋根を復旧します。後世の人にも設置時期が伝わるよう、新しい木材には「令和三~四年度修補」の焼印をしています。今後は、鯱の銅板巻にも着手する予定です。
▽弘前城二の丸南門 西側屋根の部分補修(写真手前、瓦棒材の下に新しい角材・板)
▽新しい木材への焼印
▽二の丸南門 北側屋根の部分補修(瓦棒材下に新しい角材)
▽二の丸南門 鯱の下地木部(手前が南側の鯱)
弘前城三の丸追手門では、2月下旬に壁の白漆喰の剥ぎ取りを終えました。1月に銅板の剥ぎ取りを終えた屋根部分では、下地木部で取替や補修が必要となる箇所のチェック作業を進めています。軒先の巴・唐草部分を中心に、取替・補修が必要なようです。
▽三の丸追手門 外壁の白漆喰剥ぎ取り状況
▽三の丸追手門 屋根北西隅の下地木部
▽三の丸追手門 屋根下地の補修箇所チェック
弘前城二の丸南門では、2月上旬から、屋根に新しく葺く銅板の加工を始めています。新品の銅板は、光沢のある赤茶色をしています。二の丸南門の屋根にも、過去には新品の銅板でピカピカだった時代があったものと思われますが、現代の私たちには見慣れない光景です。今回の修理では、城門の見た目に違和感が出ないよう、新品の銅板に火を入れた上で薬剤に付け、黒っぽく錆びたように変色させます。
▽二の丸南門 北東降棟(くだりむね)の鬼板に新しく被せる銅板の加工
▽二の丸南門 北東降棟(くだりむね)の鬼板下地木部
▽鬼板にかぶせる銅板の加工動画はこちら[作業者:有限会社久米田板金工業]
▽火入れによる銅板の変色動画はこちら[作業者:有限会社久米田板金工業]
▽焼いた銅板を薬剤に浸す
弘前城二の丸南門および三の丸追手門では1月中旬以降、鯱(しゃち)・鬼板の銅板はがしや、壁の白漆喰をはがす作業を進めています。鬼板等の銅板はがしは、下地となる木部の状態を確認するための作業です。壁の白漆喰については、新しく塗り替えるための準備として古いものをはがしています。
▽弘前城二の丸南門 白漆喰はがしの途中
▽二の丸南門における白漆喰はがしの動画はこちら[作業者:三浦左官工業]
▽弘前城三の丸追手門 鬼板の銅板はがし
▽三の丸追手門における鬼板の銅板はがし動画はこちら[作業者:竹浪板金店]
二の丸南門・三の丸追手門ともに、銅瓦葺屋根の銅板はがしをほぼ終えました。屋根の下地となっている木部の保存状態は、概ね良好であることが分かりました。三の丸追手門の修理現場では、現在屋根から取り外した鯱(しゃち)や鬼板(おにいた)の銅板をはがす作業を進めています。
▽三の丸追手門 屋根下地木部
▽三の丸追手門 屋根から取り外した鯱(西側)
▽三の丸追手門 鯱(西側)の下地木部
▽三の丸追手門 鯱(東側)の下地木部
二の丸南門・三の丸追手門ともに仮設足場と素屋根の設置が完了し、現在は銅瓦葺屋根の下地の確認作業を進めています。屋根下地を覆っている銅板の1枚1枚に番号を振り(番付け)、位置情報を残した上で銅板をはがしていきます。銅板の下には、下地の木部が見えてきました。
▽三の丸追手門仮設足場
▽三の丸追手門 上層屋根(南面)への番付け作業
▽三の丸追手門 上層屋根の銅板に貼られた番付けシール
▽三の丸追手門 上層屋根(西面)からはがした銅板
▽三の丸追手門 上層屋根(西面)下地の木部
仮設足場の組み立ても進み、現在は素屋根をかける作業を進めています。足場の設置により、城門の屋根を間近に観察できるようになりました。足場設置が完了したら上層屋根の銅板をすべてはがし、下地の木部の状況を確認します。
▽二の丸南門 仮設足場設置(素屋根工事)
▽城門屋根 部位の名称
▽二の丸南門上層屋根 銅板のはがれ
▽二の丸南門鬼板
▽二の丸南門鯱(しゃち)
▽二の丸南門懸魚(けぎょ)
▽三の丸追手門 仮設足場設置(素屋根工事)
▽三の丸追手門上層屋根 鬼板の脱落と銅板の欠損(軒先)
11月8日より、保存修理工事のための仮設足場の設置を進めています。今後工事が本格化していくことになりますが、門の通行は引き続き可能です。
▽二の丸南門 仮設足場設置作業
▽三の丸追手門 仮設足場設置作業
「弘前城菊と紅葉まつり」に併せて、二の丸南門と三の丸追手門の修理現場を公開するイベント「弘前城の歴史にふれるday」を開催しました。二の丸南門では番所を、三の丸追手門では地下遺構を公開し、期間を通してそれぞれ約3,000人の方々にご見学いただきました。
▽重要文化財弘前城二の丸南門 番所公開
▽弘前城二の丸南門 番所内部
▽重要文化財弘前城三の丸追手門 地下遺構公開
▽弘前城三の丸追手門 地下遺構