アメリカシロヒトリを知っていますか?
アメリカシロヒトリは、毒針毛を持っていないため、ヒトへの直接的な被害はありませんが、幼虫時に樹木の葉の食害や、洗濯物や建物に付着するなど問題を起こす不快害虫です。
当市に寄せられる被害のほとんどは幼虫時によるものです。
【体形】
…細長い円筒形(30ミリメートル前後まで成長)頭部は黒色、胴部は淡黄色。成長するにつれ灰黒色を帯びてきます。
【生態】
…卵は卵塊として葉の裏に数百個産み付けられ、白色毛で覆われます。
(クモの巣に似ている)幼虫は、ある程度糸を張って集団で生活をし、その後は分散し、葉の食害や、家屋の壁面を這うなどの不快な行動を引き起こします。
通常、年2回発生し、1化期は6月上旬~7月中旬で、2化期は8月上旬~9月中旬となっています。
これは気象状況等により発生時期がずれることもあります。
特に、2化期(1年で2回目の発生)の幼虫が現れる9月頃に、もっとも被害が大きくなります。
【越冬】
…樹幹の割れ目や樹皮の隙間、エアコンの室外機の影など、風雨がある程度防げる場所に潜りこんで蛹(さなぎ)になります。
成虫体長…雄:約14~15ミリメートル、雌:約15~16ミリメートル
体色…全体的に白色であるが、翅(はね)には多数の灰黒点を生じます。
食性は広いが、市内では特に、クワ、クルミ、サクラ、プラタナス、ヤナギ、柿など、食害される植物は100種以上が知られています。
食害をされると、葉が枯れたような状態になります。(葉を食害中)
【巣網の拡大写真】
駆除は早期に行うことが好ましく、ふ化直後に集団で生活する時期に被害葉を見つけ出し、枝や葉を取り除き、踏みつぶすことが一番自然にやさしい駆除方法です。
幼虫はクモの糸が絡んだような袋状の巣を作って集団で生活しており、また、葉の表皮部だけを残し食害するため葉が白く見え、これが発見のポイントになります。
幼虫は6月~9月頃にかけて年2回発生するので、この時期に確認し、対処してください。
薬剤を用いて駆除する場合もこの時期が効果的です。
薬剤は、スミチオン、オルトラン乳剤の散布が一般的ですが、トレボンMCやスティンガーも効果的といわれています。また、規模が小さい場合は殺虫スプレーをかけるだけでも効果があります。
薬剤を使用の際は、取扱説明書を読み、使用方法がわからない場合は販売店に尋ねるなどしましょう。
市では、市民または町会を対象に薬剤散布用動力噴霧機を貸出していますので、ご利用ください。
また、小規模な噴霧や機械の取り扱いに不安がある方でも使用できるよう、エンジンを使用しない「蓄圧式」の噴霧器もご用意していますので、ご利用ください。
(貸出用噴霧器)
蓄圧式 背負い式 タンクキャリー式
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
蛹(越冬) |
成虫 成虫 ↓ ↗ ↓ 産卵 蛹 産卵 ↓ ↗ ↓ 幼虫 幼虫 |
蛹(越冬) |
アメリカシロヒトリの成長は非常に早く、産卵された卵は1週間程度ですぐ孵化すると言われています。その後、数百匹でその木を食害し、食べつくしたあとはそれぞれ分散します。分散後は、個体によってさまざまですが、再度食害又は蛹となる場所をもとめて移動しますが、その際に家屋の壁面を移動することも多く見られます。
※その年の気象状況等により、発生時期がずれることがあります。
アメリカシロヒトリを早期に発見するためには、自分の家の樹木をこまめに確認することや、隣近所などで声をかけあって教え合うのが早期発見につながります。
【初期状態のアメリカシロヒトリの巣】
そのまま放置すると、どんどん巣網とともに食害が広がっていきます。
【葉の食害をする幼虫】
さらに放置すると、巣網から抜け出し個体で行動するようになります。
【幼虫】
そしてやっと気が付いた頃には、樹木の葉がなくなってしまい、手遅れな状態となっています。
【食害されたクルミの木】
その後、木から出て次の餌等を求めて歩き回ります。
【家屋の壁面を這う様子】
このあと、蛹となり成虫になりますが、2化期であればそのまま越冬し、春が終わったら成虫となって産卵をします。
初期状態の巣網をいかに早く見つけて駆除するかがポイントです。
発生時期は大体決まっているので、その時期になったら自分の敷地の木を観察するようにしましょう。
また、アメリカシロヒトリはほぼ毎年発生しますので、自分が所有していて、管理に困っている木があるのであれば、伐採の検討も必要です。
担当 環境課 環境保全係
電話 0172-40-7035