旧岩木町(現弘前市)出身の鳴海要(なるみ かなめ)は、現代陶芸の父ともいわれている加藤土師萌に師事し、その門下第一人者として師の技を継承。帰郷後はりんご釉の開発などで、東北地方でもっともすぐれた陶芸家の一人といわれました。
当館は、総務省の「地域文化財・歴史的遺産活用による地域おこし事業」を活用し、同氏の陶房跡地に現存する貴重な陶窯の保全とギャラリー機能を備え、地域に開かれた文化芸術創造の空間として整備したものです。
何年もたったりんごの樹の太い幹を燃やして残った灰を原料とする、鳴海要が開発した釉薬です。
岩木山にそびえる津軽野の気風が写しだされる幻想的な薄桃色と薄紫を基調とする色彩の主成分は、樹皮にしみ込んだ硫酸銅にあります。
その灰を水に溶いて、釉薬を硫酸炎で焼けば緑色に、還元炎で焼けば桃色に発色します。
硫酸炎で焼いたりんご釉
還元炎で焼いたりんご釉
大正 9年 旧岩木町(現弘前市)賀田に生まれる
昭和26年 県工業試験場窯業部研究員
昭和29年 人間国宝加藤土師萌氏に師事
昭和31年 東京藝術大学美術学部副手
昭和36年 現代日本陶芸において特選
昭和39年 帰郷後、賀田にて築窯自由制作に入る
昭和52年 岩木町褒賞受賞
平成11年 青森県褒賞受賞
平成15年 青森りんご勲章、地域文化功労者文部大臣表彰受章
平成16年 逝去
担当 鳴海要記念陶房館
電話 0172-82-2902